ベテランのシステムエンジニアに求められることは不必要な情報を捨てられるスキル
所属している組織でも、ここ数年からジワジワと定年退職されるベテランのシステムエンジニアが出てきたんです。これは組織の年齢構成の高齢化の進行を示している一つの事象であって、どこの組織でも日々起きていることだと思うのです。
システムエンジニアが中堅からベテランになり、それなりのロールに見合った責務を果たすことが出来ているのであれば、それなりの報酬を得ているのでかなりの負担が組織でされているということも安易に想定できることです。費用から見ただけの高コストのエンジニアが多くなってくる近い将来、その高コストのエンジニアをどう負担するかと言えば、やはり、少数のベテランのエンジニアと数名の中堅と若手エンジニアでチームを作り、ベテランのシステムエンジニアがリーダシップを取るチーミングが安直ですがスタンダードになるのでしょう。
現状でもそうしたチーミングをしているケースが多いと思われますが、組織の高齢化が進むとなにせベテランのシステムエンジニアの母数が増えるので切実です。何が切実かと言えば、ほとんどのベテランのエンジニアがリーダシップを張れないとコスト的にそのエンジニアを支えられないからです。
では、そうした高齢化が進むシステムエンジニアの中のベテランのシステムエンジニアに特段求められるスキルは何かあるのでしょうか。そうしたベテランのコストを売れて利益に変換するためにはどのようなスキルを持っていればいいのでしょうか。
ベテランのシステムエンジニアを含めたチームでそのベテランのシステムエンジニアだけが持っているのは、やはり経験です。経験と言っても過去の苦労話じゃないし、そんなのはナレッジにもならない。持っている経験から、今チームの前に横たわる手強い課題があるときに何をして欲しいか。それを想定して考えてみると、ベテランのシステムエンジニアに期待することは次のことです。
- 課題を正しく理解できること。
- 課題から目指すゴールを設定すること。
- 課題とゴールから、不必要な情報を捨てる判断をすること。
若手ばかりでは、課題を正しく理解できないことがあります。それは、なぜその事象が課題になっているかコトの本質に迫れないから、です。表面だけのコトの追及は対処療法になりやすく、その対処も限定的となってしまうのです。
どうして表面だけの原因追及が対処療法になってしまうのか。それは、目に見える原因は発見しやすく対策が立てやすいからです。ただ、これは見えている事象に対する対策なので、コトの本質でない分、あちらこちらで起きていることの1つだけでしかない、ということです。それはそのコトの事象にだけ対処しているだけで、別の所で起きている、又は、起きるかもしれない事象には対処できない、ということです。
課題から目指すゴールを設定を正しくできる。このスキルを持っているエンジニアは意外と少ないものです。そして何よりそのゴール設定が間違っているときに素早く判断する材料を持って、ゴールを設定し直すということができるエンジニアも少ないのです。ただ、今まではそれでも良かったけれど、年齢構成の高齢化から変わるだろうシステムエンジニアのコスト構造の変化がベテランのシステムエンジニア全てに求めるのではないか、と思わざるをえないのです。
こうしたベテランのシステムエンジニアに必要なスキルは経験ではなくて、課題を正しく理解するために多くの情報を集めることは勿論だし、その情報の中から目指すゴール設定を出来るスキルを発揮するために共通的に必要なスキルがあります。それが、課題を正しく理解したり、目指すゴールの設定をするために集めた情報の中から「不必要な情報を捨てる」ことを判断するスキルです。
ベテランなんだから沢山経験している、だから、多くの複雑なことを考えるのではなく、集めた情報からコトの本質を辿れる必要最小限の情報だけを見抜き、残すことです。そうした必要な情報だけを見抜けるスキルがあるからこそ、課題を正しく理解し仮説を立てて、その仮説が間違っていたら素早く修正できる。それは、情報を足し算を続けて山積みにして動けなくなるのではなく、用をなさない情報をムダと省いて身軽に動けるようにチームを導くことが出来るスキルが必要だと思うのです。