なんで「エンジニアリングなプロジェクトマネジメントをやらないのだろう?」という疑問


いまどき、SIプロジェクトとかでプロジェクトマネジメントをやらないなんて「どこの世界の話なんだ?」って思うかもしれないけれど、若い人の、いや、中堅どころの層の自称プロジェクトマネージャでも

「え?それがあなたの言うプロジェクトマネージメントなの?」


と驚かされる日々を過ごしておりますがみなさんはいかがお過ごしでしょうか。これ、まったくもって嘘でもなくて現実、今ある姿がこの状態なんですよね。ITだってエンジニアリングなのだから、こう、もっと整然とやりたいですよね。それがどうかして職人技のようなプロジェクトマネジメントになっていませんかね。


PMIが、所謂、バズワードとして流行り始めたのが2002年以降のことです。この時の流行りはすごかったですね。で、2006年には日本国内取得者が18,009人。あれ、そんなもんなんですね。で、2013年4月で30,448名か。

参考 PMP®有資格者数の推移 


そうかそうか、ワタシが取得した2003年のcertifiedの番号は世界の遠し番号で1桁万台なのか。
脱線しました。


プロジェクトマネージメントをやっているという状態の定義
ワタシの言う「プロジェクトマネージメントをやっているという状態」は、

「プロジェクトマネージャを担い、プロジェクトマネージメントを実践して経験を積み、得た経験知と知識体系の形式知を反応させて学びのループを回している。」


状態を指します。簡単に言えば、「経験したことを知識で整理しなおす」ということです。


プロジェクトマネージメント研修と実践
今時の組織ならプロジェクトマネジメントの研修ってあると思うんですが。なくても、外部研修が用意されているのでは?と思うんですが。で、新入社員研修でも取り上げられていると思うんですが……。さて、実際はどうなんでしょうか。


少なめに見て「プロジェクトマネジメント概要 基礎編」的な講座があると期待するとして、そうした「概要」の講座があるとしてもその講座に日程を取られるのは1日程度なのかもしれません。だとすると、何も得るものはないのかも。だって、新人ですものね。


では、中堅向けの講座として「プロジェクトマネジメント講座 中級編」があるとして、多分、2日は日程的に取られるかもしれません。ボリューム的に。で、ここで実は初めてきちんと体系的に学ぶことになるのではないか、と思うのですが。


とすると、それまでは「さわり」だけの知識の上で実践による経験値を積んできたのだけれど、その実践で得られた経験値は主に「システム開発手法」としてであって、その下周りのプロジェクトマネジメントについては直接意識することがないのでは?と思い至るわけです。それは夫々が夫々にアサインされた環境下で得た経験と言う知識しか持ち得ていない、と。


困らなければ学ばない。でも学ばなければエンジニアリングにならない。
意識の高い、プロジェクトマネジメントに指向性を持っているエンジニアであれば、自己研鑚で学ぶのかもしれませんけれど。でも、実際は成り行きの経験知だけでしか学びをしないでしょう。だって、日々の開発、構築で困らないもの。


そして、初めて困るのがプロジェクトマネージャにアサインされるとき。


でもね、じゃあ早期に「プロジェクトマネジメントの講座を受講させればいいのか?」と聞かれれば、今の良くある研修講座のコンテンツでは学びの効果は期待でいないでしょう。一方的に受け身の座学ですから。


受講者たるエンジニアは夫々のアサインに基づいて経験値を持っている。でも、経験だけ。さて、何が必要なのか。確かにプロジェクトマネジメントの知識体系は広く深い。その上に乗るシステム開発方法手法の本質も理解しないといけない。実際に、プロジェクトを回すツールや技術も必要です。


何を知識として必要とするか。何を学んでもらうか。何を学習すればいいのか。だからこそ、安易に教える側は知識体系を黙々と唱えているのだろうか。それでそうした研修講座を受講した人たちは言うんですか。「あの研修意味ないから。」と。


でも、それではエンジニアリングにならないですよね。それでは「科学的知識を実際的なプロジェクトに適用する」ことが出来ないですもん。


そうすると受講者と研修提供者の間にギャップがあるんですね。それを解消しないと組織の中で一向にエンジニアリングとしてのプロジェクトマネジメントが涵養されない。もう、属人的な職人的なプロジェクトマネジメントしか存在しない。そうしたエンジニアリングとは程遠い、プロジェクトマネジメントとは似て非なるものはやる人、やるプロジェクトごとに違うことをやります。だって、非科学的ですからね。


でね、非エンジニアリングなプロジェクトマネジメントは、その人流だから何を背景にしているのかわからないのですよ。聞くまで。いや、聞いても話してくれたことしかわからない。それがもどかしい。


エンジニアリングなプロジェクトマネジメントをしましょう。