プロジェクトでメンバの育成を計画しなければならないのって理不尽ですか


プロジェクト計画を立てるときは、プロジェクトのメンバがプロジェクトで使用するスキル、具体的には利用技術について育成を計画することを検討しなけばならないことになっています。


これはどのようなことを想定していて、プロジェクトマネージャにプロジェクト計画でメンバの育成を要求しているかと言うと

「プロジェクトの要員は『必要なスキルとスキルのレベルを持っていない』ということを前提にしておきなさい。」


ってことですね。ごもっともでございます、としか言いようがないです。とはいえ、専門の畑の違う門外漢のエンジニアを集めたって仕方がないのだから、プロジェクトに必要な技術領域を明示的に組織内部でも組織外でも調達するわけです。調達しようとするんですが時期や景気の動向で欲しいスキルを持つエンジニアが思うように集められないのも事実です。


メンバの調達にどれだけプロジェクトマネージャがかかわれるかと言う観点もあるけれど、あまりかかわらないということはメンバ候補として見定める機会を逃すだけで、プロジェクトに必要な人材を調達して、その調達したエンジニアのスキルレベルを考慮したプランに結び付けられなければプロジェクトの遂行計画なんて机上の計画でしかないのはスキル不足のメンバがいたときのプロジェクトマネージャもさることながらプロジェクトチームのメンバが相応以上の負担を強いられるという結果にいたるなんて割と身をもって経験されているのではないか、と思うのですが。


とは言え、現実問題プロジェクトに必要なスキルやスキルのレベルがフィットしたエンジニアを新たに探すことは容易くないです。スキルエリアはまだその経験をインタビューすればフィットしているかどうか白黒つけやすいですが、こちらの期待するスキルレベルを持っているかどうかの分別をインタビューでぴたりと引き当てるのは結構ギャンブルとしか言いようがないです。だって、一緒に仕事したことがないんだもの。


であれば、やはりプロジェクト計画を検討する段階で明示的にプロジェクトに貢献してもらえるだけのスキルを早期に身に着けてもらえるように計画を作らなければならないことになります。


メンバが多い大規模であれば、メンバのスキルのばらつきもあるのでそのスキルの下限を揃える観点とお作法を習ってもらう観点とで育成計画を建てておくことは忘れてはならないしやるものですが、小規模のプロジェクトでは、実際のところそんな余裕は時間もコストもないと思うのです。ここに「エンジニアが育たない」という一つの課題の根っこがあるのでないか、と。


小さなプロジェクト、片手のそれも前半くらいの人数であればメンバの占めるプロジェクトへの影響度はプロジェクトのあらゆる面において大きいインパクトを持っています。1週間インフルエンザで休めば進捗のリカバリは大変だし、長期休暇や冠婚葬祭なんて最初からプロジェクト計画に考慮されていなければプロジェクトマネージャは立ちくらみをしてしまうでしょうけど、想定できないものもあるけれど、ちょっとメンバのリスクの話に入り過ぎるとまた別の話になるのでここまでで。


何れにしても、小さなプロジェクトではメンバの占める影響度合いからも採用もプロジェクトへの貢献の期待も含めて早期に見定めることが必要で、その前にはもちろん採用すると決めたらインタビューをしたあとのプロジェクト計画でのメンバの育成をどうにかしてでも計画を立てておかなければ問題の先送りとなって肝心な時にポカをするような事態になりかねないのでそこのあたりは腹を決めておかなければならないです。


一つの対策が、作業標準に見られるような作業プロセスの詳細化と作業の要求レベルの明示であって、普段のふるまいから最低限守ってもらう躾と品質レベルを最初から刷り込むことでプロジェクト内での教育の一部を代替してしまうやり方もあります。このやり方の良いことろはそれこそルールなので守らなければ他のメンバからの制御も入るし仕事が進まないので守らざるを得ないというちょっと窮屈に感じるかもしれないとこではあるけれど、そうした同じやり方をするなかで基礎レベルでの技術移転も期待出来るところがいいかと。


こうしてみると、小さくて体力がないプロジェクトであればこそ、育成が大きなウエイトを占めていると思わざる得ないですね。