1日チームのアウトプットがなければ人数*人日のコストが無駄になるという考え方を持っているかがプロジェクトの成功の鍵になる

昨日のエントリで、記者の眼 - みずほ銀行のシステム統合、いつの間にか消えた“本当の”期限:ITproを取り上げましたが、その中の一つのことが気になったので今日はそれを取り上げます。

Costについて下世話な話をすれば、期間を1日でも延長すると判断すれば、システムエンジニアが1000人いれば1000人日ですから、たった1日で人月換算して50人月の追加コストが余計に掛かるわけです。 #1000人は便宜上の数値です。

まだ終わっていないけど、みずほ銀行のシステム統合プロジェクトはどこに原因があるのだろうか - 室長のひとりごち

 facebookである方はシステムエンジニアが8000人いた場合の試算をしていたのですが、さすがにそれはありえない数字だと思ったのですが、この辺りの数字ってどこかにあるのでしたっけ。

それにしても1日アウトプットがないと50人月をドブに捨てるようなものです。プロジェクトマネージャやコスト管理を担当しているPMOは胃が痛くなるでしょうね。役員からはコストに見合うアウトプットが出ているのかと聞かれますから。でも、そういったコストに対するアウトプット、それもプロジェクトの最優先項目の品質を伴ったものがWBSの完了ごとに確保されているかと問われているようなものですから。

このプロジェクトは、システムエンジニアが1000人でも既に超大規模プロジェクトですし、そんなプロジェクトのプロマネなんてやりたくないですねぇ。お鉢が回ってきて退路がないならどう首脳クラスを調達するかにかかっていると思うので、それは相当の社内政治力が必要でしょうし、どの役員に腹を詰めてもらうかまで考えて受けないとあぶない危ない。

妄想は棚に上げて、エントリのタイトルには入りますが、まあ、そのまんまなんですよ。

1日チームのアウトプットがなければ人数*人日のコストが無駄になる

プロジェクトのトップからリーダまでは少なくとも、この思想を持っていないとプロジェクトは進捗しないんですね。いや、メンバまでが持っていないといけないですけど…。

ただ、注意して欲しいのは、だったら「何でもいいから作っておけ」みたいなことを考えてはダメなんですよ。あくまでも、プロジェクトの目的を達成するためのアウトプットがタイトルのアウトプットですから。何でもいいから作っておけという考え方自体が思考停止している証拠ですけれど。自分で必要かどうかを見極められないんですから。下手にそんなことをされてアウトプットに紐付かない何か怪しいものが作られてしまうと今度はそれを維持しなければならなくなって余計にコストがかさむという負のループ。

そういうことで、プロジェクトのアウトプットと紐づいてアウトプットに至る中間生産物もプロジェクトの目的達成のために必要なアウトプットのサブセットになります。ここでゴミを増やさないように、作らないようにしなければならないのです。

仕様書の様式の帳票設計をするときに、人手が必要な項目はその工程で処理されているかとか後工程で使われるかを精査しないといけないんですよねぇ。あったほうがいいからとついつい足しがちですが。とはいえ、後からは超大規模プロジェクトだと帳票の差し替えなんてとんでもないので、こうした標準化は優秀な人をアサインしないといけないんですよ。

結局、プロジェクトの目的はシステム開発なので動くプログラムで構成されたシステムです。そのシステムには、業務要件が実装されているわけです。

プロジェクトを進捗させるとは、契約書に書かれたアウトプットや記載されていないけれど中間生産物を日々作ることです。だって、いきなりプロジェクトの目的であるシステムを作る手段や手法を私たちは持っていないのですから。

だからこそ、1日の作業でアウトプットがないなんてありえないんです。たとえ、処理の実装を考える日であっても、どこまで考えるかを決めて、手書きでもいいのでノートに描き出さないとアウトプットしたことにならないんですよ。

頭の中で悶々としているのは何もしていないのと一緒です。