プロジェクト終了後の「ふりかえり」でTryをどう生かすか
プロジェクトが終了したので振り返りをしたいのだが自分は振り返りに出たこともファシリテートしたこともないので教えて欲しいと相談がありました。
うーん、
「やってみたらいいんじゃないかなー」
と思うわけです。はい。やりたい人の想いというか狙いがあるわけです。ただ、プロジェクトが終わったタイミングで振り返りをしてもプロジェクトにフィードバックはできないので、チームが同じメンバで次も働くのでなければ効果はあまり期待できないのですが。
それでもやはり、相談された以上今風のアレン人をして返すなら
「プロジェクトの振り返りをしたいです」
「どーしてー?」
「プロジェクトの経験を生かしたいから」
「わーい!」
「えらいねー!」
「すごーい!」
「プロジェクト、大変だったよねー!」
「チームはフレンズだねー!」
「わーい!わーい!」
と返せばよいのかな。 さて、と。
なぜ「ふりかえり」をしたいのか
多分に相談した方は「ふりかえり」をしたいのだと思うのです。プロジェクトは大分苦労をしていたようなので、経験から学びを得て次に生かしたいという真面目な動機で。
プロジェクト終了時のふりかえりでの危惧
ひとつ心配になるのはこうしたプロジェクトが終わったときのふりかえりは、割と心に傷を負ったできことだけがクローズアップしやすいです。つまり、プロジェクトの出来事でうまく行かなかったトラブルの犯人探しをしがちなんです。
だって、そのプロジェクトでのフィードバックを公式にできる場はそこしかないですから。ファシリテートをしなければ、ふりかえりの流れは勝手にプロジェクトで起きたコトに向かわずに、そのコトを起こした人に対して向かうようになります。
戦犯探しが目的ではありませんから、そこはふりかえりをしたい人は場のコントロールを仕切らなければなりません。ふりかえりをした上に、トラブルを思い出した上に責められていてはその人が不憫でしかないし、第一、ふりかえりの目的ではないでしょう。
グランドルールを導入する
場をファシリテートするために、その場を制御するルールを導入します。ふりかえりの目的を達成するためには必要なことです。フィンランド・メソッド入門を守ってもらうのがいいですが、その場でルールをインストールすることなるので、赤字の3点だけを発言前に確認してから発言する、としたら良いです。
図解 フィンランド・メソッド入門
- 他人の発言をさえぎらない
- 話すときは、だらだらとしゃべらない
- 話すときに、怒ったり泣いたりしない
- わからないことがあったら、すぐに質問する
- 話を聞くときは、話している人の目を見る
- 話を聞くときは、他のことをしない
- 最後まで、きちんと話を聞く
- 議論が台無しになるようなことを言わない
- どのような意見であっても、間違いと決めつけない
- 議論が終わったら、議論の内容の話はしない
ふりかえりはKPTで
グランドルールをインストールできたら、次は、ゴール設定です。ガイドがない状態で始めてしまうとファシリテートする側もコントロールが大変ですし、ふりかえり内容が枝葉末節で期待するゴールに到達できない可能性が高いです。
そこでKPTです。KPTとslideshareで検索すれば出てくるのでそれで。
KPTのTをどうするか
プロジェクトが終わったときのふりかえりではプロジェクトのチームにフィードバックができません。物理的に。だってプロジェクトは終わってしまっているのですから。
でも、ふりかえりをしたい人にとってはプロジェクトで得た経験をそのまま暗黙知の経験とせずに明示的な形式知にして共有し、次に生かしたい、と思っているのでしょう。
であれば、Tをどうするかを考えればいいわけです。
TはTryです。Kのこれからも続けること、Pのやめることの集約です。でも、それをやるチームのメンバはそれぞれ次のプロジェクトにアサインされるとするならば、何かしら制約をかけないとこのふりかえり自体に意味がなくなってしまいます。
ひとつのアイデアは、共有できる媒体にTを書き込み、それを配布することです。写真を撮り、画像編集ソフトで参加者がサインをするとか、色紙にTを書き、参加者が記名するとか。そうした個人に配布できるものを作り、配ります。
チームが解散するのであればそのくらいしかできないかなーと思うのです。