五体満足の有り難みが身に染みる

足が急に腫れて、膝が自由に曲げることができなくなったときがあって、そのときの不自由さときたら、涙ものだった。
その数か月前にも同じような症状になったのだが、鎮痛剤で楽になり、1-2日で治ったのですっかり気を許していたら、今度の症状は重症だった。何せ、深夜からジワジワ鈍痛が走り出し、うつらうつらとしていたら、夢なのか現実なのか、意識の境が曖昧の中、痛みだけがうっすらと迫ってくる。

1日目は何とかやり過ごすも、患部は次第に腫れてきて、解熱剤を飲むもあまり効かなくなってくる。2日目は、鎮痛剤が少し効いて気を許すと、3日目はほとんどその部位は働くことを放棄した。職場では、わたしの歩きを見て、みな、どうしたのと聞くが、そりゃそうだ。患部を伸ばしたり、縮めたりするだけで激痛が走り、声にならない悲鳴を上げ、のそりノソリと歩くのだから。
3日目の帰りの距離の遠さときたら、絶望てきだった。これまで、タッタッターと階段を駆け降りたりしてきたものが、一段一段しか動くことができない。ここ数年、公共交通のバリアフリー化が進んできたように思えるが、それでも、そんなときに限って、エレベータは点検で使用できず、エスカレータは、逆方向のみで利用したい方向は増設工事中だったりする。
通勤のホームで通りすがる人の半分は、傍から見ておかしな動きをしていても構わずぶつかりそうになったり、ぶつかってもなんとも思っていないようだ。
そのとき、「ああ、そんなものなんだ...。」とわかったのだ。特に、子連れ、妊婦や白い杖を持った人には、気を付けていたが、ちょっとくらい変な動きをする人は、もしかしたら自分自身も気にしていなかったのかもしれない。そんなことを改めて思い直した3日間だった。

4日目はとうとう耐え切れず、病院送りになって、処方が効くの効かないのって。病院の間近の処方を出す薬局の受付で近所の人が働いていたことも新しい発見だった。