技術革新に抗う組織や上司の壁をブレークスルーするのはエンジニアなのだ


組織や上司が技術革新に抗うのは
例えば継続的インテグレーションのような新しい技術革新に挑戦してみたくても、それをビジネスに適用することは顧客の要件にそれがあるか、トップダウンで落ちてこないとなかなか実現しません。エンジニアも人の子なので、成功体験と言う名のコンサバティブな思考に囚われものごとの価値を判断するからです。

経験済みで、それも成功体験だとしたら、なぜ、あえてリスクを冒してまで新しい技術革新を選択しなければならないのか、ということです。新しい技術革新を選択しないという思考でさえ、そこに辿り着かなくてはそもそもその思考するテーブルにも着くことはないのです。

ビジネスは顧客から資金を獲得し、その資金の中で顧客のやりたいことを実現します。その条件下で顧客のやりたいことを実行するなら、リスクは小さい方が組織のマネジメントでも営業でも当然でしょう。

しかし、世の中はそれこそ2000年のころより今の方が断然変化のスピードが加速しているのも事実です。今目の前にある契約を実行する手段の選択肢の一つに技術革新も含まれるなら、その契約で実現するシステムの開発やリリース後の維持に適用することで得られる将来の価値が上がるなら、エンジニアとしてそれを選択しない理由はありません。


抵抗勢力は身近にもいる
実は、新しい技術革新を導入しその価値を得ようとするとき、身近にも抵抗勢力がいたりするものです。同じ組織に所属しながら、すべてのエンジニアが自分と同じように新しい技術に触れようとしたり、自己研鑚として社外勉強会に出歩いたりする人って、実はそれほど多くないものです。例えやっていても、個人の関心をその源としているのでコッソリやっていたりすることが多いものです。

でも本当に自ら技術を追うことを行動に移しているエンジニアはまだまだ少ない。ここ数年、確かに勉強会など盛んになってきましたが、大体いつも同じ顔ぶれです。その人が所属する組織でも広告塔の役割を演じ、学ぶことについての魅力を業務でも課外でもあるものなのだと触れ回り、フォロワーが付くまで相当の時間が費やされるのではないかと思うのです。

ここで、所属する組織のエンジニア、それもプロジェクトを一緒にキャリーしたエンジニアの顔ぶれを思い出してみてください。その顔を思い出したエンジニアの中で自分と同じように新しい技術革新に目を向け、個人なりにも手を出しているエンジニアはどれだけいるだろうか、と。
顧客要求だから、それが組織のルールだから、プロジェクトで採用されたから、と、他人が駆動して初めて手を付けるエンジニアも少なくないのではありませんか。

そのようなエンジニアもプロジェクトを確実に回すために必要な要員であるところが悩みと言えば悩みです。そのエンジニアたちは、意思疎通、若しくは、指示されすれば確実にアウトプットを出してくれる。アウトプットを適宜ウォークスルーしておけば、期待する顧客要求である品質を確保できる、そんな確実に期待に応えてくれるのだから外すに外せない。

でも、そのエンジニア達は、自ら進んで新しい技術革新に触れようとしない。


技術革新を導入することでプロジェクトが上手くなら
例えば、顧客要求に短いサイクルでリリースして欲しいという要求があるなら、テストの自働化継続的インテグレーションなど、今、巷でキーワードになっている技術を導入し、その要求に応えたいと思うものです。

自分自身がこれから進むプロジェクトを見通し、その技術を導入して得られる効果と価値を実現したいと思うなら、自分自身でテストモデルを動かし、視覚化しておく必要があります。得てして、新しい技術革新の手法を取り入れたいとき、その導入が目的となってしまい導入したは良いが、目的を達成できないことがままあります。

人が何か新しいことを取り入れるとき、過去の成功体験と違うものなら進んで手を挙げないものです。逆に言えば、テストモデルでも自分で導入して実体験として得ているならば、まわりが未体験からくる見えない不安を実体験を持っている貴方を担保として賛同してくれる可能性が増すでしょう。

また、自分でプロジェクトに適用したことを想定してテストモデルを作り、動かしてみれば、頭の中で机上検証したことと違うリスクに気づきを得られるでしょう。やってみないとわからない。でも、いきなりビジネスに適用するにはまわりを説得するにしてもハードルが高い。さらに、その新しい技術革新の経験が少ないなら、適用しないと識別できなリスクを知る由もない。

なら、限定された範囲でもテストモデルを実体験しておかない理由はありません。


最後の手立て
自分自身がエンジニアで、新しい技術革新で適用する技術を理解し導入する手立てを持っているとして、組織は我関せずなのだとしても、それでもやった方が顧客の期待もプロジェクトの価値も得られるなら、自分自身がプロジェクトマネージャとして、プレイングマネージャとしてのロールを選択することが最後の手立てです。
しかも、一番現実的です。既存の技術しか知らないプロジェクトマネージャと組むこともプロジェクトを安全にキャリーする手立てですが、それではプロジェクトマネージャにその新しい技術革新について刷り込む手間が必要です。
ならば、自分がプレイングマネージャになってしまえばその手間の分をプロマネにあてればいい。

あとは自分の覚悟次第です。