情報の精度は石橋を叩くように待っても得られない

エンジニアが作成する資料には様々な用途で作られるものです。その用途を理解し、使われる目的に応じてアウトプットしないと作った資料の価値を自ら無くしてしまったり、いつまで経っても完成できないままに時間切れとなってしまうことだってあるのです。

石橋を叩いて渡るという諺があります。意味は「石橋を叩いて渡るとは、用心の上にさらに用心を重ねて物事を行うこと」でそれから色々と派生の意味合いもあるようです。

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特に注釈の用心し過ぎるの部分が作成する資料の目的により適切なケースもあるし、そうでないケースもあるのです。

【注釈】 壊れるはずのない強固な石の橋を、一応叩いて安全性を確かめて渡ることから、用心し過ぎるほど用心深くなることをいう。
慎重すぎる人や臆病すぎる人に対して皮肉をこめて使う場合もある。

引用 同上 

 それを判断する基準が資料の用途です。

用途を理解する

用途は作業したアウトプットの目的を実現して行うものです。目的が具体的に目の前に現れている状態にあるということです。

エンジニアが作成する資料のうち、石橋を叩いても確証を得ておきたいとか裏を取っておきたいようなものには設計書などの仕様書類が挙げられます。

確かにこれらの資料に曖昧さがあればその資料から作成されるコードに曖昧な処理が混入してしまったり、その前に曖昧さをコーディングできずに手戻りすることが想定されるのでそうした書きっぷりは排除したいことの一つです。

一方、要件を引き出したり、解決案を思案する際には、制約や前提を置いた上で仮説を資料上に表現し、検証を進め評価したりします。

ここでの情報は全てが確定することができないために仮説から一時的な判断を行い検証をする流れにするのですが、その際の資料は確からしさを求めるよりは、考え方を仮組みしてその考え方の正当性を確かめることに価値を置いています。

この場合は、叩いて壊れないことを確かめるよりは渡れそうだと仮説を立て、叩く範囲、叩く方法を限定して前に進むことを目的とします。

用途により価値の優先順位が違うということを理解しましょう。

情報は必要な時に揃わない

前述した後者の用途の場合、資料を作成するときに必要だと思う情報は全て集まりません。集まらないからといっていつまでも待っていたらその資料はいつまで経っても出来上がりませんから作業が完了しません。

でも作業には期限、タイムボックスがあります。どこかで手離れしないといけない。手離れするためには、どこかで決断しなければなりません。

そういうものだ、と腹を括ってください。

でも、そうはいってもと思うなら、条件をつけてください。

・5月9日時点の情報に基づく
・参考資料ABC

など調べて裏付けを確保できているところはここまで、と明記しておきましょう。

情報の精度はいくら石橋を叩いて待っていても期限までに上がりませんし得られません。情報の精度が必要な資料であれば、待つのではなく期限までに得られるように取りに行く、精度より時間を優先するのであれば、条件をつけてだす判断をする。

そうすることで用途にあった価値を持つ資料を作ることができます。