ボトムアップおじさんとの仕事は辛い -60歳くらいの指示待ちシステムエンジニアが仕事にダメ出しされるもうひとつの理由-
今日は父の日なのに前の話を蒸し返しちゃうけどごめんね。前のエントリでは
・担当の作業を自分で推進できない
・WBSを自分で展開できない
・課題を上げることができない
・指示待ち
を上げたけれど、そう言えばそのおじさんエンジニアはもう一つ仕事のやり方でダメ出しを出されていたし、ワタシもアウトプットを見てダメ出しをしていたのを思い出した…。いや、見てと言われたからコメントしたまでで…。
・専門家としての経験を生かしプロジェクトに貢献すること
・リーダシップを発揮してプロジェクトを推進すること
期待されている仕事が上記のような仕事の内容だったのは上流というより企画や立ち上げに近い仕事の範疇だったというのこともあり、余計に期待値は高かったわけです。そのような企画や超上流のような仕事のときに必要なアプローチは、目的から必要な情報を集めたり、関係しそうな部署を教えてもらってインタビューをして、仮説を立て、それが正しいかを検証を重ねながら全体のコンセプトを積み上げていくつもの会議の承認を得てプロジェクトを実行することだったわけです。
さて、このようなミッションのときにどうやって手をつけたらいいのでしょうね。
過去のエントリになんども書いているように、ワタシはA4かA3のコピー用紙をコピー機から取り出して、紙の上にそのときの仕事のテーマを手書きで書き出します。例えば、計画のような場合は、コンセプトや仕様をつめていくときのいい感じのやり方 の4象限になるように縦横に1本ずつ線をビューと引いて、目的とか完了条件とかの目次になりそうな標題を書き込みながら1−2行や簡単な表を書き込んでいくんですね。
プログラミングのように仔細で具体的なことを表現する必要は全くないし、寧ろ、企画や超上流の段階でそれをやってしまってはレベル感がおかしくなってしまうんです。
そういったときにまずやることは、目的と完了条件を明らかにすることと、方向性を決めることです。具体的で緻密な情報はまだ必要がないんです。
ところが…60歳くらいの指示待ちシステムエンジニアの人は、いきなりパワーポイントに書き始めるんです。何をですって。もちろん、ご本人が関心を持っていることや不安なことを、です。あとですね、質問みたいなことを書いていましたね…。
別にいいと思うんですね、いきなりパワーポイントを使って資料のコンセプトやグランドデザインみたいな叩き台を作られても。でも、企画や超上流、システム開発なら要件定義や基本設計くらいまでの範疇なら、要件や仕様のコンセプトや方式のデザイン案のラフを作ってもいいと思うんです。コンセプトやグランドデザインとかからなら。
いま必要なのはそういったトップダウンで枠を嵌めてみる仕事なわけです。それを「自分が関心のある瑣末なことから書き始めるから「全体がさっぱりわからない」んですね。だから資料を説明してもらうと「おっそうだんだ」くらいしか反応しようがないし、コメントを求められても「全体はどうなっているの」としか聞きようがないんですね。
企画や超上流や要件定義だったら、仕様自体が決まっていないんですね。仕様を決めるのが仕事なんですから、ボトムアップのアプローチで全体を組み上げられるわけないんです。それができるのは、すでに出来上がった構成がある場合でそれが当てはまるときだけです。
こうした仕事の内容でアプローチを考えたり、アウトプットの出し方を決めて行ったりするスキルは40歳になったらもう必要になります。要件定義だともっと前の年代で必要ですね。早ければ20歳代で必要になりますね。
あと、こういった企画や超上流の仕事の場合、慣れていて自分のアプローチのパターンを持っているなら好きにやって大丈夫だと思うんですが、慣れていないならやっぱり紙で概念を自分で理解できるくらい整理してからパワーポイントみたいなオフィススイートで資料を作らないとホント、アウトプットがでないですし、一番拙いのは中身のない資料を量産してしまうことです。
まず、文字がフォントに置き換わりますから見た目が綺麗ですね。そういうツールですから当たり前です。とはいえ、みなさんそういったツールのリテラシは高くないので上手に且つ効率的に使えないことを自覚すべきです。図形に重ねてテキストボックスに文字を入れている人が多いこと。
何を言わんとしているかというと、ツールを使うことに時間の方が本来のコンセプトを考えたりグランドデザインを考える時間より多くなってしまうということです。で、時間だけはしっかり使っているしPCの画面とにらめっこしているので疲れて仕事をした気になってしまうんです。中身はないのに。
同じ轍を踏まないようにするためには、
・企画や超上流などの仕事に適切なアプローチの手法を身につける
・アウトプットに適切なツールを選択できる判断力を身につける
たった、この2つだけなんですけどねー。
ボトムアップおじさんとの仕事辛かったわー。