育成への期待は半分で気長に

中堅になりたてのエンジニアがまとめた資料を見る機会があった。レビューというようなものではなく「できた資料を確認してください」程度のもの。できれば、そんなこともしないで次工程に回してしまいたいが、どうも気がかりなことがあったので時間をとることに。

気がかりなこととは、同じように作成してもらった資料を見て、アレコレと聞いてみたら資料上での判断が曖昧だったり、裏付けがなかったことがあった。資料の性格上、それは拙い。いや、エンジニアが手掛ける成果に曖昧さがあってはいけないだろう、と思った。

その資料を作成する際に、ごく稀に国内のエンジニアだと知らないだろうという情報が紛れ込んでいる場合がある。今は便利な時代でインターネットがあるから国外のことでも(ネットにアップされていれば)どうにかこうにかたどり着くことができる。

言い換えれば、製品のホワイトペーパーのappendixを探し続けるようなものだ。そこまで到達しなければ、まとめた資料の信憑性はなくなってしまう。エンジニアとしてそこまで調べ、裏付けを取らなければならない。もし、そこをわからないままで資料を作ってしまうと、その報告を受けた人は裏付けがあやふやな資料の情報を鵜呑みにしてしまう。将来、鵜呑みにしてしまったことがトラブルを引き起こしかねないとは言い切れない。だから、資料を見たのだが。

 

「資料のN番目の調査結果は」
「これこれです」
「そう、それ。えっと、この点は調べた」
「そこまで調べてません」
「そーか。でも、この点まで調べないと根拠にならないよ」
「…」
「調べた方がいいんじゃなかな」
「はい」
「こっちのこれは」
「初めて見たものがありました」

「へー、なに。うーん、それ何」
「よくわかりません」
「それでその評価なんだ」
「…」
「こっちのこれの資料の調査は実はわかりません、とは言えないじゃん。もう少し調べないとさ」
「調べたんですがそれが見当たらなくて」

「そーか、でも調べて調査した根拠はとっておかないと」
「…」
「調査が曖昧なままで結果を渡してしまったら、その調査をもらった人は間違って判断してしまうからね。根拠を持っておこうね。それでも間違っていたら訂正すればいいからさ。でも、曖昧なままで渡してしまうとあとで説明に困るからさ」

 

これをきっかけにこの仕事の観点を覚えてくれればいい経験になると思うのだが。まあ、育成への期待は半分で気長に。