標準化は最低限の品質を維持するしくみであって改訂され続けるものだから

メンバがいれば標準化が必要で
プロジェクトもお一人様プロジェクトなら好き勝手にモノゴトを進めてかまわないけれど、一人でもメンバが加わることになったとたん、作業から生み出されるdeliverableに求める顧客要求の充足具合を決めて合わせておかないと、出来上がったdeliverableを手直しすることになってとても面倒で仕方が無いです。


なので、標準化しましょうと声高々と言うか言わないかは別として、標準化の目的としてdeliverableを作る作業の手続きを一本化することになります。これを“作業標準”とも呼ぶこともあります。


なぜ、自分のほかにメンバがいたら標準化が必要なのかは、ざっくり書いたそのままですけれど、作業の途中でも後でも顧客要求を満たすための過不足を予防するため、が標準化をしなければならない理由です。


標準化は最低限の品質を確保するためのしくみ
標題そのものが答えなのですが、作業標準という言葉に表されるとおり、標準化は作業の質を均一化を目的とします。それは、人それぞれのdeliverableの出来具合にバラツキがでるからで、それはエンジニア一人ひとりの裁量によって生み出されるしくみである限り避けることは出来ません。


一人ひとりのエンジニアが思い思いに書く設計書やコードは、顧客要求という制約の中でもそのエンジニアの頭の仲間の思考までは縛ることは出来ません。そこが、エンジニアのクリエイティビティを発揮できる裁量の余地であるとも言えるし、機械ならある程度の幅の中で出来上がるdeliverableが、エンジニアが作ることになった途端にバラツキが生じて頭を抱えるタネにも変質してしまう可能性を持つところでもあります。


人が増えれば、期待していないクリエイティビティを無限に発揮するエンジニアが増えるので、最終形態のdeliverableを意識しながらプロジェクト計画を立てるプロジェクトマネージャとしては、想定外のマイナスのクリエイティビティは発揮して欲しくないから、「このやり方で品質を確保してね。」とエンジニアに託すのです。


標準化は改訂しなければ意味がない
標準化した“作業標準”は憲法でも法律でもないですが、意外と作ったままになっていることが多く見受けられます。そして、それがルールだからと、上から押し付けるようにエンジニアに強制したりすることも間々あります。


これはとてもおかしいことです。標準化した目的は、最低限の品質を確保するため決めたそのときの指針であって、標準化して実行した結果が思わしくなければその標準化した“作業標準”のしくみは“間違っていた”ということになります。標準化の目的は、顧客要求を過不足なく実現することであって、又、作業の段取りを見える化するものでもあるので、作業の流れを良くするものでもあります。それが、実行してみたらその結果が要求する品質を満たさないのであれば、その実行結果を評価して、標準化した作業表分は改訂しなければなりません。


エンジニアとしても、プロジェクトマネージャとか標準化担当とかから落ちてくるやらされる仕事ではなくて、自分たちの仕事が如何に楽に、分かり易い手順でことが運べるかと言う観点で評価しなければなりません。そうでなければ、標準化は上手く行かないです。


標準化は、顧客要求を実現するための作業の過不足を無くすしくみであって、その標準化された作業標準は、エンジニアが自ら進んで改訂することを求めるようなしくみにすることが大切なのです。