いくら頑張ってもチケット管理システムでタスク管理が上手くいかないわけ


tracredmineなどは、もともとタスクを1枚のチケットとしてコントロールしちゃおうっていう発想のタスク管理のしくみです。1枚のエクセルでは複数のユーザが同時にアクセスできないから表を行にばらしてそれぞれの行でコントロールできるようにしちゃおうって言う発想です。アプリケーションで言い換えれば、データベースの更新で、

「データ更新するよ♥」
「いいよ♥」
「じゃあ表でロック♥」
「ちょっとまって♥」
「更新しちゃうよ♥」
「行でロックして♥」
「表でロックしちゃった♥」


って、感じですよね。で一覧だと全体を抱えられちゃうから使い勝手が悪いし、更新する元ネタはタスクをやっている人なんだからその人が更新すればいいじゃない、ってことで。ある意味デレゲートしているわけですね。


チケット管理システムをタスク管理に使うこと自体冴えたやり方なんだよ
バグやWBSのタスク管理のしくみとして使うのはとってもメリットが多いと思うんです。ブラウザでそのURLに同時にアクセスしても全員が閲覧できるし、自分のタスクだけ更新できるし、自分だけのビューを作れば自分のタスク管理をローカルでやらなくていいんですから。


え?他人に自分の進捗を見られるのはいやだって?それ、今日隠せても、次の進捗ミーティングで必ずばれるよ。なら、そんなことのために手間を増やすより、オープンにすることでその手間を省いて、自由にタスクを管理できる方が無駄がなくていいのでは?と思うんですよ。


プロジェクトのアクティビティをコントロールしたいなら、ローカル管理させるのではなくセンター管理するべきです。それが原理原則。コントロールしたい側に重要な情報なりツールを管理下に置く。でも、更新は各自にデレゲートしてタイミングなどの裁量を渡す。自由度とコントロールをバランス取るわけです。


チケット管理が上手くいかない兆候
チケット管理システムは、タスクを可視化して、共有して、プロジェクトを前に進めるしくみです。隣に座っている人がやっているタスクが何か見えるようになるからお互いに配慮するようになるし、誰かがあるタスクでスタックしていることがわかるようになるからリソースの空きを持っている人のリソースを投入できるようになるのです。


そこにはもちろん、プロジェクトを遂行するにあたってWBS(Work Breakdown Structure)とは「何ぞや」を理解している必要があるけれど、それはチケット管理システムと言う仕組みの場合、タスクをexcelの一覧でリーダが一人で更新し続ける場合より、一人ひとりのメンバが担当するタスクの更新に対する責務を要求すると思っています。


そんな背景が暗黙にあるチケット管理システムをしくみとして使おうと思っているプロジェクトに次のようなマインドセットを持ったメンバがいたらどうなるか。

  • メンバがWBSをベースにワークをする習慣を持たない。
  • 自分のWBSは自分で管理しなければならないことをわかっていない。
  • 前日の仕事の終わりに明日やることを確認しない。
  • 直近のWBSと先々のWBSを知って、作業のイメージをつかもうとしない。


#これ、ホントの実例であったりするんで、そっちはそっちでびっくりしたものです。それもメンバの半分くらいがそうだったという……。


強制が利かないなら諦めた方が良いこともある
こんなマインドセットを持つエンジニアは、確実に仕事に対して指示待ちの受け身なので絶対に分からチケットを更新することはないです。こんな、と言っては失礼かもしれないけれど、大の大人がエンジニアを名乗るのであれば、プロジェクトごとのお作法にはその持ち合わせる技量を持って合わせて欲しいものです。


でも、WBSの正しい概念を理解していないから、自分のWBSを管理しようという思いが希薄なのです。こうした自己管理をしないエンジニアがいる場合、それぞれのエンジニアに裁量を渡してプロジェクトを推進するのは無理ゲーです。リーダがチケット管理システムに対して“自分で”更新する他ないわけで、そうしたらexcelで充分だったね、ってなってしまうんです。


こうしたメンバがチームの中にいるなら、チケット管理システムを導入するかどうかは一寸考え直した方が良いかもしれません。それでもあきらめられないなら自分で全部更新することを腹に括っておいた方が良いです。