少数精鋭の開発チームを脅かす3つの危機


「開発チームから期待するスピードでアウトプットを得たいなら開発チームの人数は少数にする」とよく言われることだが経験則から言えば、そのとおりです。


ソニーの創業の理念を見てもそうしたことが読み取れます。

東京通信工業株式会社設立趣意書 - 井深 大
従業員は厳選されたる、かなり小員数をもって構成し、形式的職階制を避け、一切の秩序を実力
本位、人格主義の上に置き個人の技能を最大限に発揮せしむ
引用 東京通信工業株式会社設立趣意書


真に持って高パフォーマンスの組織を理想とする、いや、実現したいならこれしか他の道はないです。ただ、これを実現できたとしてもそう遠くない時期に次にあげる課題が生じます。

開発チームが疲弊し増員を要望する。
開発チームの要員が更新される。
経営的に量的拡大を求められる。


「開発チームが疲弊し増員を要望する」
パフォーマンスが高いということは適度にストレスが掛かります。難易度の負荷もありますが、優秀なチームをリードする、ついていくという内面的な圧力を自ら生み出して疲弊という事象として現れるのです。


「開発チームの要員が更新される」
表現が受動態なのは、マネージャの立場で言えば、リソースはgivenだから。メンバが変わりたい、止めたいと言えば尊重せざる得ないです。また、異動が掛かればどうしようもない。


「経営的に量的拡大を求められる」
これは2つ目の派生に近いですが、量的規模が増えるということはリソースの母数が増加するということになり、結果、生産に投入できたはずのリソースを間接、つまりコミュニケーションなどに回すことになるというジレンマが暗黙で生じます。あと、母数が増えるということは人材のバリエーションが増えるということになり、厳選された人材という環境とは乖離を始めてしまいます。


マネージャはこの課題をどう取り組むかに悩まされるんですね。