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「見積書を見て欲しい、って聞いたんだけど。」
「忙しところスミマセン。」
「それはいいから、早速見せてよ。」
「これです。」
「……。」
「何かおかしなところがありますか。直しますから。」
「悪いんだけど、この見積の案件の経緯の概要を教えてもらえるかな。」
「引き合いは○○からで、…で、…で、前工程をいま仕掛かり中なんです。」
「じゃあ、提案する『技術仕様と範囲』がわかる資料はどれかな。」
「技術仕様と範囲ってどんな資料ですか。」
「顧客に見積もってっていわれたんだよね。」
「はい、だから工数を山積みした資料やコスト計算した資料は用意しました。」
「それ、コストなんだから顧客に見せれないでしょ。」
「今の仕掛かりのWBSはこれで…。」
「いやいや、今仕掛かりの次工程の見積なんでしょ。」
「は、はい。」
「そのさ、いま仕掛かり中の工程のアウトプットはこの見積のインプットになるんじゃないかな。」
「そうです。アウトプットで見積って欲しいと言われています。」
「じゃあ、そのアウトプットをもとに工数見積もっているんでしょう。山積みした予算で何を提供するのよ。」
「△△とか◻︎◻︎です。」
「それの仕様とか、数量とか、納期とか、なんかそう言ったのあるでしょ。そう言うのさ。」
「いいえ、そう言ったものは用意していないです。」
「お金だけ出すの。そう言う契約なの。なんか聞いているのと違うっぽいけど。」
「次工程は請け負います。」
「請け負うなら請負えるようにきっちり前提条件を詰めていかないと請け負えないよ。今の状態で金額見せたら白紙委任状なんだよ。好きなだけ使われてポイだね。その上、瑕疵期間中に些細なことで不具合と言われて全額負担でやり直しするつもりなんだ。」
「いえ、そんなこと考えてないです。」
「違うな。考えていないって言うのは、見積根拠を見積金額に付してだそうとしていない行為そのものの方だよ。」
「…。」
「悪いことは言わないから、さっき話してくれた概要を元に提供するサービスと数量とそれをやる時の前提条件を用意して。それをもう一度見せて。」
「でも、提出するまで時間が…。」
「これをやっておかないと、次工程で人が倒れるよ。それでも良いの。」
「それは…。」
「今頑張る時だから。」