仕事の負担の不公平感はどうやって解消すればいいか

プロジェクトでもルーチンワークでも同じなのですが、チームの中で仕事をしていればチームの中で仕事を分担するのでチームの中で個別最適化が行われます。どいうことかというと、チームの中で一番生産性の高いメンバに仕事の量的にも質的にも集中します。仕事の量的とは作業量のことで質的とは難易度の高いもの、です。


チームのリーダは、その管理単位、プロジェクトチームや組織の中の部署の運営を担っているので、関心を持つのは担当している管理範囲が責任を持つ範囲です。そういうこともあって、自分が責任を持つ範囲の中を指揮命令できるメンバに作業を担当させる際に一番効率的な割り当てることを無意識、恣意的に関わらず行います。


これらの前提が正しいとするならば、仕事の負担に対する不公平感の発生源は、プロジェクトチームのリーダのアサインだとすることができます。でも、それほんとなんでしょうか。


プロジェクトチームのリーダ
冒頭に書いたとおり、個別最適化を図ります。個別最適化を図ることがプロジェクトチームが最適に活動できると見通しを立てられることが意思決定の基準だからです。


プロジェクトチームのリーダは、個別最適化がチームの存在意義であることを暗黙で理解しているので、同じようにメンバも同じように考えていると思いがちです。立場で受け止め方が違うことを認識していないと、メンバの不公平感に気づかないので危険な状況を作ってしまいます。


プロジェクトチームのできるメンバ
できるメンバとは、仕事の処理が早いとか難易度の高いとか、とにかく、仕事を始める際にそうしていていた期間や要求する品質に到達するのが早い人です。こうしたメンバは仕事の段取りができたり、仕事で要求されるアウトプットのイメージの飲み込みが早かったり、難易度の高い仕事を実現する技術を持っています。


仕事ができるメンバも超人ではないのでいつか限界値を超えてしまいます。限界値に近づけば不公平感が一気に溢れ出し手がつけられなくなります。できる分だけ溜めてしまう器が大きいので目一杯たまります。


プロジェクトチームのその他のメンバ
できるメンバをメンバの2割とすれば、それ以外のメンバは細分化すれば計画どおりに進めてくれるメンバが6割で残りの2割が計画どおりに実行できないメンバです。この8割のメンバのうち、6割の普通のメンバは計画時に想定した範囲内での負荷であればなんとかやり切ってくれます。残りの2割のメンバは、計画どおりに実行することはありません。


その他のメンバは、パフォーマンスが低ければ低いほど負担を感じるハードルが低いレベルで感知します。そこがプロジェクトチームのリーダとは真逆に見ているところです。


プロジェクトチームのリーダが不公平感を排除するためにすること
プロジェクトチームのリーダがメンバへの仕事のアサインや実行フェーズで不公平感を低減するために配慮すべきなことはつぎのことです。

  • プロジェクトチームの存在目的・達成しなければならない目標を繰り返し伝える
  • 作業の内容・要求品質をメンバと定義する
  • 計画をQCDの観点でオーバーランしない範囲でメンバの自薦でアサインする
  • 作業は可視化し、メンバ間に作業分担を受け入れさせる


プロジェクトチームのできるメンバが不公平感を持たないためにすること
できるメンバは仕事と割り切れるけれど、ある程度考える時間が欲しいものです。それは段取りや仕事の手順や難易度の高い仕事を実現するために必要だからです。


その時間が必要であることを明示的に説明しましょう。これは、仕事の手順を説明し、他のメンバも同じようにすることを布教するやり方が良いでしょう。この活動によりチームの作業のプロセスが標準化されるので全体的に効率化に向かうでしょう。


プロジェクトチームのその他のメンバが不公平感を持たないためにすること
6割の普通のメンバは、いくつも掛け持ちをせずにひとつの作業を集中して進める作業の段取りを組みましょう。同時並行で作業をしても、作業をしているように感じますが現実には期限になるまで成果は何も実現していないということを理解しなければなりません。その期限までできるできないを確信を持って言えないくらいなら一つひとつ、確実に終わらせてつぎの仕事に手をつける方が、何より達成感を得られます。


チームで不公平感は無くなるか
チームとしての存在価値やスポンサーから期待されていることから始めることが全員の共通の判断基準を持つために必要なことです。さらに、一人ひとりの能力差に応じて仕事の分担がされることを理解する必要があります。


個々のメンバが違う特性を持っていることをメンバが理解し、認識することが不公平感をなくす一歩です。その上でどうやっていくかをチームで決めて、やって、工夫して、を繰り返すルーチンを作れるかどうかが不公平感をなくす方法です。