イライラとアジャイルな組織を目指して

週次でミーティングを持っている。いわゆる進捗会議ではなく、プロジェクトの付帯的な活動やその他の活動の状況を聞く。ああ、活動状況を聞いているのだから進捗会議と同じではないか。ただ、違うのはマネージャからの周知のようなものは極力しない。そういったものはchatツールで済ませてしまう。そのほうがログが残るのでメンバが忘れていても遡れて良い。何より、メンバを集めて1時間使うなら、メンバが使った方が良い。

ある回で、シニアのエンジニアが今日は2件話したいと言った。ちょっと言い方がいつもと違うな、と感じた。自分の意見を持っているし実力もあるエンジニアだが、周りに合わせる柔軟性も持っている。そのエンジニアが、である。

実は、その回の前日にそのエンジニアが他組織と某案件で場を持つことを知っていた。更に言えば、前日にその他組織の担当と会話をしていて、担当が案件をどう考えているかを知っていた。まあ、人が悪いという人もいるかもしれないが、マネージャとは清濁を合わせ飲む混んでおくものであるし、情報源を捕まえておくのが仕事だ。

話を戻して、普段とは違った印象を持ったエンジニアは冒頭からイライラとしている様子が伺える。もともと、話のファシリティはもう少し技術を身につけると更に良くなると思っているが、それはまた別の話だ。それでイラつているから話を始めると2つあったどっちの話から始めようとするのか分別せずに話し始めるので、どちらから話すのか、どんな内容なのかと問いかけるとイライラは更に募るのがわかる。

1件は某案件の進捗、2件めは他組織との新たな仕組みを作りたいという。

1件目の進捗なら(任せているので)いらないというと、イライラに不機嫌を重ねる。これは何かあると思って少し聞いてみると、様々な制約条件や前提条件の中で厳しいスケジュールでやっているので無茶な段取りで進めざるを得ないと。

どうしてそうなったかを聞くと準備期間に別のタスクを振っていたのがだだかぶりしていたからだとイライラ度も最高潮を迎えた。

プロジェクトや活動にはゴール設定が必要だ。それに向かって仕事をするからだ。でも、限られたリソースでできることとできないことがある。それと、自分が考えられる段取りの組み方や進め方は過去の成功体験の焼き直しでしかない。それを知っていれば、行き詰まったとき、周りのメンバとブレストをするのが打開策となることが多い。

ブレストでなくても、コーヒーでも飲みながら雑談しながら話すだけでキーワードを拾えることが少なくない。つまり、一人で悶々とイライラしながら自家発電するより、周りを巻き込んでしまう方が生産的なのだ。たとえ仕事を分担しているとしても、そのためにチームがある。

あるものはなんでも使う。

確かにエンジニアは難しい活動を担当している。だからこそ、周りのリソースを少しずつ借りて進めた方が良いのだ。それは中堅や若手のエンジニアに難しい活動をするときのリニアでリアルな仕事のやり方を教えることになるのだから。

その回は終わる時間の5分前に他のメンバに出てもらい、1on1の形で諭すように話しかける。イライラしている原因に自分(そのエンジニア自身)も含まれていること、それを踏まえた上で、自分の感情と切り離してことを見ないと視覚が狭くなり、イライラするループに陥ってしまうこと。

多分、届かないのだろうけれど、それを伝えるのもマネージャの仕事である。