エンジニアとしての情報把握とフィルタの強度について

立場的にマネージャであり、プロマネであり、コンサルタントであり、一兵卒のエンジニアであるので(長くなるのでと思いつつ書いてしまった)、引っ括めてエンジニアとしたのだが、その立場で必要とする情報とその把握の対象は少しずつ違いがある。

マネージャであれば担当部門のビジネスの先を見なければならないから、そうした動向を把握する必要がある。さらに、日常のプロジェクトの集合体であるプログラムマネジメントをしなければならないので担当部門下のプロジェクトの情報を収集しなければならない。

エンジニアであれば、アサイメントされているプロジェクト内外の情報を収集し自分の仕事にフィードバックしなければならないし、専門とする技術については動向を押さえ自分の技術の更新に努めなければならない。

それぞれの役割、ロールに応じた特性に依存する情報を把握することと各自の専門性を深め、広げるための情報収集が必要なのである。

ところで、自分はどうかと言えば、専門性のところであるプロジェクトマネジメントについてはそこそこ情報収集をしているつもりである。とは言え、適用技術のように日進月歩なんてものではないくらい速いコンテンツに比べれば、タイムスパンが桁違いに長い。この分野で日常的に流れている情報は事例や事象の類であるから、そうそう遅れることはない。多少怠けていても直ぐに追いつける。

ただ、役割として、それも現場の、となった途端、情報把握のオサボリは致命症となりかねない。懸案だった課題なら然るべき場で話題に上がるので気を抜いていてもキャッチアップできるが、そのインパクトは大きいくせに猫を被っていたり、課題管理にも上がってこないような、でも気を配っていれば気づく程度のヤバイ系のリスクの芽は情報を認識したときの違和感でしかフラグは立たないから、見逃しやすい。ここで情報把握をお留守番するとあとあとの取り返しに利子が山のように付くのである。

ただ、そうしたフラグを見つけることを恒常的に行なっているかと言えば、そうではない。何か他のことにリソースを割いていたり、関心が持てないと顔が向かないから結果的に情報把握をしなくなる。こうしたことが時々ならましだが、そのしなくなる頻度が増える=関心事から外れていくと情報把握のウォッチリストから外れる。端的言えば、掛けられるリソースと情報把握の対象とするかのフィルタはリニアに連動しているし、関心がなくなればフィルタの強度は上がり、フィルタで止められるのである。

これは経験に基づいて無意識に情報把握の対象フィルタをかけてしまっているのである。こうしたことはなぜ起きるかを考えてみたが、そのフィルタをかけている対象のプロジェクトを甘くみているのではないか、としか思えない。ではさらになぜ甘くみているかというと、プロジェクトの進捗スピードが情報把握の対象とするプロジェクトより遅いからだ、と思い至る。

なんでも同じようにリソースを割り振ることはできないが、これが拙いかどうかはそのプロジェクトでやらかしたときの回復コストで判断する他ないのである。

もし、マネージャやリーダに質問して、その答えがたどたどしかったり、即答しつつも答えの内容が薄っぺらだったら、確実に情報を把握しておらず、質問されたその場で持っている情報だけで判断しているに違いない。

それを知っていたからといって、そこを責めても返ってくるレスポンスはろくなものじゃない(=取り繕うために当たり前のことしか言わない)から、それはスルーして要点を話し直し、やろうとしていることを伝え直したほうがいい。

 

 

 

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