理想のマネージャ
誰にとっての理想のマネージャなのかという観点を忘れてしまうとこのようなテーマを扱うと議論が発散してしまう。
組織 → マネージャ ← 部下
↑
マネージャ自身
少なくとも3つの視点がある。視点というよりは立場、である。組織は組織としてマネージャに対する期待を持っているし、部下は部下でマネージャに対する期待を持つし、マネージャはどのように振る舞うことがマネージャとして良いのか悩み続ける。
またマネージャ自身も自分の上にマネージャを持っていて、自分自身が部下の位置になる。その意味では、マネージャは2つのロールの立場で物の見方を暗黙に要求されていることになる。
部下としての理想のマネージャ
部下から見たときの理想のマネージャ像は、なかなかこれだと1つには絞りきれないだろう。マネージャと部下は1対Nの関係になるため、一人ひとりの部下であるエンジニアの理想を尋ねれば、尋ねたときに部下が関心を持っていることについて教えてくれるだろう。大事なことなので重ねるが、『尋ねたとき』に関心を持っていることについて、である。
キャリアサポート、アサイメント、PC環境、職場環境、労働環境…評価、給与、承認要求…マイクロマネジメント、組織の情報(主に社員で手に入らない情報)…作業負荷、不公平感…コミュニケーション、対人関係、振る舞い、言葉遣い…最新技術の担当、有償カンファレンスの費用、海外カンファレンスの費用…。
きりがないが、部下にとってその瞬間は大事なことなのである。そして、そうした大事なことは言うこと自体を部下が抑制するので知らされない。
経験から言えば、自分のことを観察していて、マネージャから見た自分の適性の可能性を示してくれたマネージャには感謝している。そうしたアドバイスのないマネージャは信頼することはなかった。
組織としての理想のマネージャ
これは単純で、組織の課題を解決してくれるマネージャであり、指示どおり動いていくれるマネージャである。
その解決方法のアプローチは問われないが、組織のルールがあればそれを遵守することは無条件に求められる。
まあ、そうだよね、くらいでしかない。
マネージャ自身としての理想のマネージャ
マネージャの理想のマネージャ像を聞く機会はこれまで何度かあった。だいたい2つのパターンに分かれる。1つ目は、過去に部下になった上司を理想とするパターン。2つ目は、理想のマネージャを尋ねられ、そのときに思いついた人物や理想だと言うマネージャが備えている能力を言うパターンである。
これはマネージャ像の確固たるモデルが存在しないことによる。
後者は、理想を尋ねられたマネージャが持っていないと思っている能力をあげることが多い。持っていない能力は欲しい能力で、そうした能力は振り返りをする度に自分で持っていないことをせめ、自身の評価を下げてしまうマネージャもいる。
部下から見れば、部下自身のことを認めて、導いて欲しいと思っている。組織からすれば、組織の課題を理解して解決して欲しいと期待している。どちらも共通していることは、対象を『把握』できるかできないかで評価が分かれると言うことである。
マネージャは『把握』する対象を知り、『把握』するために情報を集め、『把握』したことをから課題設定し、『把握』したことを解決する。
把握できるマネージャは1つの理想のマネージャなのかもしれない。
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