プロジェクトが終わったとき何をすればいいですか?

「プロジェクトが終わったらレポートを書くようにと訊いたんですがどうしてですか。」
「いろいろあったけれどまずはプロジェクト終了お疲れ様でした。」
「いえいえ、こちらこそご支援ありがとうございました。」
「で、なんでレポート書かないといけないのですか。」

「1つ目は、プロジェクトの評価をしたいから。プロジェクト計画書でプロジェクトの目的、目標を立てたでしょう。QCD(Quality, Cost, Delivery)も計画があったですよね。それと実績を比較しないと。その比較から評価をして欲しいんだけど。」
「その比較、評価はなぜ必要なんですか。」
「プロジェクト計画書の妥当性だね。良い点、改善が必要な点とプロジェクトで計画を立て、やってきたことがあると思うけれど、その計画が今後のプロジェクトでもつづけた方がいいのか、今回採用したことを止めたり改善した方がいいのかを知るためにね。」

「どのくらい詳細にやればいいんですか。」
「子細に始めてしまうときりがないから、そうだね……、コストのようなものはそうした程度の問題はないのでやるやらないでいればやるんだね。ただ、コストを振り回した出来事があればいくつかは拾っておきたいね。」
「具体的には。」
「課題一覧があったでしょう。それの中でコストを振り回した上位20%の出来事にフォーカスしてみたらどうだろう。」
「なんで上位20%なんですか。」
「80:20の法則って聞いたことないかな。それ。20%が全体の80%を占めるっていうの。」
「うーん、聞いたことあるかも。」

「その評価は何に使うんですか。」
「一つは次の案件での参考値として、だね。見積もりで類推見積もりって言うのがあるんだけど聞いたことある?」
「いいえ。」
「過去の似たようなプロジェクトの実績を参考に、見積の根拠を求めるんだ。」
「そうなんですか。」
「そう。見積なんて何か拠り所がないとあてずっぽなんだよ。占いみたいなもの。でも、占いは占う前に占ってほしい人から情報を聞き出すからね。見積もりはそうはいかないから。だとするなら占いより分が悪いのかもね。」
「これからの見積もりの参考値にするんですね。」
「そうそう。」
「だとすると、見積もりの形式に合わせていた方がいいんですね。」
「そうだね。でも、合計の括りが合っていればいいんだよ。詳細は細かければその方がいいよ。」

「他には。」
「プロジェクトチームで振り返りをして欲しいな。」
「チームメンバ全員でですか。」
「できれば。」
「工程ごとに要員を増減させたから……。」
「調整して、集まれる場を設けたらどうだろうね。夕方とか朝一とか集まりやすい時間に。」
「夕方だったら調整しやすいかも。」
「でも、なんでメンバを集めてやった方がいいんですか。」
「プロジェクトを回したのがチームだからだよ。プロジェクトマネージャが計画を立ててチームがまわしたんだけど、そのまわしている日常の中でいろいろ変えていったと思うんだ。そうした変化の中で今後も続けて行きたいことと、次からは採用しないこと、次はチャレンジしてみたいことを共有して欲しいんだ。」
「それはね、プロジェクトメンバからプロジェクトマネージャへのフィードバックなんだよ。こうした場を設けないと、プロジェクトマネージメントやシステム開発手法や日常の運営などの改善点を全部自分で見つけないといけなくなっちゃう。だったら、それを実践していったメンバに善し悪しを訊いた方が早いよね。そう、フィードバックだね。」
「あーそれは良いですね。知りたい。」
「他でもやってもらっているけど、これはいいって言っているよ。」

「あとは、プロジェクトのリポジトリの後始末だね。」
「あー、subversionですか。」
「他には。」
「あとメールとか、だね。」
「あっ、メールもか。」
「後に残るメンバだけ。完全に抜ける人は削除しておかないと。」
「抜ける人が持っていては拙いですか。」
「今時はね。情報漏えいがあったら拙いから。」
「それはそうなんですけど。」
「そう言ったこともあるので『経緯をtracのチケットに残しておこうね。』と言っていたわけ。」
「そうか。後で見返せるように、ですね。」
「そう。」

「そうそう、メールって一つ気にした方がいいことがあるよ。わかる。」
「え。プロジェクトのフォルダのメール消せばいいんでしょう。」
「それだと、足らない。」
「そうなんですか。」
「だってそれ、受信メールだけじゃないの。」
「あー、送信メールですねー。」
「(ニンマリ)」

「これって、どのプロジェクトでも同じですか。」
「なにが。」
「プロジェクトが終わって何すればいいか。」
「同じでしょう。」
「アプリでも。」
「勿論。
「インフラでも。」
「もちろん。」
ウォーターフォールでも。」
「モチロン。」
アジャイルでも。」
「全部、ね。」