エンジニアは前提条件を忘れる生き物である


とあるプロジェクトの完了レポートを見ていて思ったのは、

「エンジニアは前提にしたことを忘れる」


です。実はその完了レポートのプロジェクトに少し関わっていたので週次ミーティングなどに御呼ばれされるので、ワタシ基本真面目ですから出ていました。


プロジェクトですから山あり谷あり、凪もあれば白波が立つほど大荒れに荒れるときもあります。その原因が自爆のときもあるし、外からやってくるときもあります。プロジェクトですから。


モノゴトを捉える考え方、思考の違い、と言ってしまえばそれっきりなのでそうしないのですが、何か深刻なことが起きると生真面目というかバカ正直というか、根が素直なんでしょうね。目の前にトラブを載せたお皿が出てくるとみんなでどう料理しようかとワイワイはじめるんですよ。目の前に出てきたトラブルだけを見て。


お仕事ですから契約があって、です。契約範囲外のことをすることはとても注意が必要です。一つは、契約範囲外のことを「よかれ」と思ってやるとそれが起因となって別のトラブルを引き起こすことが割とあります。「よかれ」と思っていやっているので契約範囲外の「よかれ」と思ってやることの範囲や責任なんて何も詰めていないですから。それが原因でトラブルが起きると善意の上にトラブルが起きるという拙いループに陥るわけです。


でも、それって自分から足を突っ込んでいるんですよね。範囲外のことをしているわけだし、それの責任分界点を明示的にしていないのも。またこの「よかれ」が安易な無責任の「好意」に基づいているから根が深いんです。さらに「よかれ」をする人は「いいこと」をしているつもりでいるわけですからなぜダメなのかがわかってもらえないし。困ったものです。


話を戻して、目の前にお皿に乗ったトラブルが出てくるといきなりどう対処するかを喧々諤々と始めるわけです。ワタシの役割はいつもこうです。

「それ、前提条件から言えば範囲外じゃないのかね。」


手を出す前に、パブロフの犬じゃないけど条件反射する前に、考え始める開始地点をその場に来ている人達にこういっているんですね。「そこから考えるのは間違いだよ、考えるスタート地点はこっちだよ。」って。


プロジェクトですから、そりゃ先方から無理難題を押し付けられることもあるし、頼み込まれることもあるわけで。同じようにこっちの無理なお願いもうっかりミスのやり直しもあるので持ちつ持たれつです。とはいえ、契約の上でお金が行き来している中での作業ですから何から何までなーなーではできないですよね。とは言え、持ちつ持たれつ、相互補完的な観点もあるわけで何から何まで無下にはできないのも現実にあるわけです。


なので、一旦形式的にもでも契約と前提条件を眺め直して、自分たちの立ち位置を確認して、持っているリソースのうち人と時間の余裕具合を確かめつつ、その申し出をもしやったら人と時間のリソースがどれだけ必要なのかを高い精度で把握したうえで、プロジェクトとしてやるのかやらないのかを判断すればいいんです。


それなのに、みんな目の前にお皿に乗った状態で出てくるとすぐに啄んでしまう。これじゃダメです。啄む前にそれを食べられるほどお腹の空き具合に余裕があるのか、食べられるものなのか、食べている時間を持っているのか、食べ合わせは大丈夫なのか、そうしたことを知ってからやらないといけない。何も考えずに食べてからお腹壊すのはバカです。


前提条件はいつも気にしましょう。