プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ −情報の有形無形を意識する−

前回のおさらいは プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ −情報の較差による義務と特権− では、立ち上げ時のメンバと途中参画するメンバ間には「情報に関する較差」が生じており、「プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ」ではこの「較差」をどう埋めるかが鍵なであることがわかりました。


また、それをどう低減するか、が立ち上げ時からのメンバが考慮しなければならないことであることもわかりました。


でも情報って見えなくないの
情報の較差ですが、いったいどのような情報があるのでしょうか。表9を参考に見てみましょう。


列に情報の形状、見える情報なのか見えない情報なのかを記述できるように追加します。

表9

項目 ↓立ち上げ時_____完了↓ 情報の形状
「立ち上げメンバによる関係性」 無→→→→→→→→→→→→大 無形:視覚化できない
「アウトプットの創出」 無→→→→→→→→→→→→多 有形:文書・プログラムの形態
「計画予算の執行分の消費による残り」 上限→→→→→→→→→→下限 有形:コスト管理による予実
「経過時間分の消費による残り」 最大→→→→→→→→→→納期 有形:契約期間と参画時点の差異
プロジェクトの進行 無→→→→→→→→→→→完了 無形:契約期間と参画時点の差異とWBSの進度に応じた出来高の差異


メンバの関係性は視覚化できないので「無形」です。メンバ同士が仲がいいのか殺伐としているのかは見た目では分かりません。


アウトプットは文書やプログラムになっていれば認識することはできます。ただし、文書化されていない検討の過程などはプログラム上には表現されず、検討した結果だけがソースコードとして表現されますからその点では無形となるものもあります。


コスト管理による予実は、プロジェクトの予算と実績を月次くらいで管理されているかどうかというコトです。それがなされていれば、数字を確認すればいいだけです。ただ、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、コストについてはプロジェクトマネージャが管理したりPMOが管理したりすることが多く、メンバには人数は(見えるので)開示されても、お金までは開示されないことがままあります。


契約期間と参画時点の差異は、これはマスタープランを手に入れさえすれば導出できます。


本当のプロジェクトの進行は、契約期間と参画時点の差異とWBSの進度に応じた出来高の差異を合わせないとわかりません。これは単純な話で、プロジェクトがカレンダどおりに進んでいても、WBSで計画した期日ごとにアウトプットが得られていなければプロジェクトは遅延していることになります。


こうやってグルーピングした情報を有形無形で見直してみると普段無意識に情報を扱っていることに気付きます。無意識に情報を扱うのが自分のためであるならそれ自体は気になりませんが、誰かと共有するとなったとたん、有形無形に関わらず伝えなければならなくなります。


プロジェクト立ち上げ時からのメンバとは、プロジェクトの進行に合わせて情報の共有を決めていくのでいいのですが、途中から参画するメンバにはどう伝えるかを考えておかなければ伝え漏れが生じてしまいます。情報の共有を意識しながらプロジェクトの進行に合わせて整理しておけばそうした伝え漏れなどを防止できるという言い方もできますね。