プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ −情報の較差による義務と特権−

前回のおさらいは プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ −途中参画からみえる差異− では、プロジェクトの進度に応じて途中参画するメンバは、すでに出来上がっている関係へ新たに参入して新しい関係性を作る必要があることと進度に応じた多くの情報を吸収する必要があるという2つのアクティビティが暗黙に課されているということがわかったのでした。


これは表7の立ち上げ時のメンバから見た視点でも、表8の途中参画のメンバから見た視点でも、結局は同じことがわかりました。


この関係は、立ち上げ時からいるメンバは「自分たちでプロジェクトのリソースを使ってアウトプットを作っていくのでリソースを使うこととアウトプットを作ることについて自然に振舞ってしまう」のです。一方、あとから途中参画するメンバは「参画した時点で残存するリソースは限られているし、すでにアウトプットが山積みされているのでキャッチアップとチームのロールとしての立ち上がりを有無を言わせず要求される」という状況にあると表現することも出来ます。


ワタシはこの状況、特に立ち上げ時のメンバと途中参画するメンバ間には

「情報に関する較差」


が生じていると考えています。標題の「プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ」ではこの「較差」をどう埋めるかが鍵なのです。


表7や表8の項目を抜き出し、時間軸で項目ごとのボリュームを表現すると下表のように表現できます。このボリュームのどの位置で新規参加メンバを受けれるかにより新規参画者の負荷なり、負担が変わってきます。

表9

項目 ↓立ち上げ時_____完了↓
「立ち上げメンバによる関係性」 無→→→→→→→→→→→→大
「アウトプットの創出」 無→→→→→→→→→→→→多
「計画予算の執行分の消費による残り」 上限→→→→→→→→→→下限
「経過時間分の消費による残り」 最大→→→→→→→→→→納期
プロジェクトの進行 無→→→→→→→→→→→完了


それをどう低減するか、が立ち上げ時からのメンバが考慮しなければならないことです。この考慮は、情報の較差で優位性を持つ立ち上げ時から参画しているメンバのもつ義務であり特権でもあります。特権と表現しているのは、情報の較差で優位性を持っているほうに属しているから、です。