WBSの進捗だけでは気づかないプロジェクトのリスクの見つけ方

プロジェクトの進捗報告でWBSを使用して進度の報告を受けるとき、注意してみないとけない観点があります。さて、どんな点に注意してWBSをみますか。


WBSを使ってプロジェクトの進捗を見る場合、おうおうにしてWBSの計画数に対して、実績数との差異をみて、計画数を中央値にしたときの一定の幅の中であればそのプロジェクトは健全と評価して、幅の線を越えるとプラスであろうとマイナスであろうと何かあると判断するやり方です。


このやり方で注意しておいたほうがいい点があります。一つは、実績のカウントの仕方です。もう一つが、リスクになるWBSが大幅に遅延しているのに気づかない、というケースです。


WBSの実績のカウントの仕方での注意する点は、工程ごとにWBSが終わったとカウントして良い完了の状態を決めているかどうかです。決めていなければ、その時々の都合でいいように実績としてカウントしたり、カウントしなかったりすることがあるからです。現実には、プロジェクトの進捗遅れでペナルティ=詳細なレポートの提出などが求められる場合、しばしば終わっていなくても終わったとカウントするケースが想定されます。これは、計画通りに実績が上がってくるため、割と見つけやすいパターンです。


後者は、WBSの実績が大方はオンスケや逆に幾つかのWBSは計画より先行しているケースで、実は、数個のWBSが大幅に遅れて、相殺すると若干の遅れやオンスケに見えてしまうケースです。これがどうしてまずいのか、です。


プロジェクトマネージャの立場で言えば、全体での進捗の辻褄は合っているのでいいじゃないか、というのです。あるWBSが理由があって手がつけられない、進捗が停滞しているので、他のWBSを進めた、というケースです。だから全体としては辻褄が合っているので問題はないだろう、と。


ところが、その遅れているWBSの結果がプロジェクトの全体の進行を妨げる可能性がある場合、そのWBSの代わりのWBSをいくら進捗させても危うさは変わらないというか、時間が経てばたつほどプロジェクトへの影響度合いは高くなるのです。


そして、そのリスクの度合いは、実はWBSからでは見えなくて、別の資料を探さなければわかりません。それが課題管理や問題管理の一覧です。これらの一覧に遅れているWBSが記載されて、日々のトレースがされている場合はまだましです。ところが一覧に記載されていても放置されている場合はかなりまずい状況です。さらに一覧に記載されていない場合は、とても危険な水域にプロジェクトが一時的であろうと踏み込んでいると思った方がいいです。このような状態の場合は、一刻を争うと思って行動を起こさないと手遅れになる可能性があります。