今時のプロジェクトマネージャのスタイルは命令型・調整型・サーバント型のどれを選べばよいか


プロジェクトマネージャを意識し始めて勉強を始めた頃、プロジェクトマネージャには命令型のプロジェクトマネージャと調整型のプロジェクトマネージャが入ることを知ったのです。それまで、そういった型、タイプに分類すること自体考えたことがなかったのです。


それを知ったのは超大型のプロジェクトで、プロジェクトマネージャには前述の2種類のPMがいて、

「今どき命令型のプロジェクトマネージャじゃ誰もついてこないよ」


と言っていたのはもう十数年も前のことです。


自分がプロジェクトのメンバとして入るときどちらがいいのか。どっちがいいか、自分に問いかけられたらどちらを選ぶのか。誰かから問いかけられるわけでもないけれど、自問自答として考えるとワタシとしては「調整型」のプロジェクトマネージャと一緒に仕事をしたいし、ワタシがプロジェクトマネージャの立場になるならやはり調整型のプロジェクトマネージャとして振る舞いたい、と思ったのです。


彼のプロジェクトマネージャはどういったことを背景にして調整型でなければやっていけないと言ったかその理由を聞く機会はなかったのですが、当時置かれていたプロジェクトの規模、制約、メンバの自主性などを踏まえてそういった発言をしたのではないか、と思ったのです。


命令型でも調整型でもどちらもプロジェクトのゴールは変わらないのです。それでも二種類のタイプに分かれるのです。


命令型のプロジェクトマネージャは、そのプロジェクトマネージャが見切れるメンバの規模(人数)、つまりメンバが何をやっているか目が届く範囲の中でなら有効に働きます。プロジェクトマネージャの目が届いているので誰が何をやっているか、どこにボトルネックがあるかを的確に捉えられ、リカバリも難しくないです。


でも、ウィークポイントがあって、それは目が届かないほどの人数になったときです。そうした目の届く範囲はプロジェクトマネージャのキャパシティに強く依存しますがそれを本人を含めて正確に知る由はないのです。多くのプロジェクトでメンバのコントロールが不能になっているのは命令型のプロジェクトマネジメントをしているのにPMが自分のキャパを超えていることを知らずに同じスタイルを通すため、機能不全に陥っているパターンです。


調整型は、言い換えればメンバに対してメンバ自身がプロジェクトマネージャから指示していた分をデレゲートして自律させてプロジェクトチームのメンバをコントロールする手法です。調整型と言ってもなにも「どうしよう」なんて言うわけではないのです。プロセスを決め、ルールを決め、品質を示し、メンバの自主的な活動を促し、対立や無関心が起きないように現場をコントロールすることでプロジェクトを調整するのです。


結局、少数精鋭でも大規模でも超大規模でも、技術領域が広かったり、コミュニケーションパスが複雑になれば一人のプロジェクトマネージャが命令を仕切ることは現実的ではないのです。だから、調整型が自然と求められるわけで。


そうしたこうしたことを経てここ数年台頭しようとしているプロジェクトマネージャのタイプがサーバント型のプロジェクトマネージです。で、これも調べてみたら2000年前には提唱されていたようで、それはアジャイルによって再び脚光を浴びたような形になっているようです。


サーバントといえばFate/stay nightですが、プロジェクトマネージャがメンバのサーバント(=召使)としてメンバのパフォーマンスを最大限に発揮できるように障害を取り除く働きを期待されているタイプであると紹介されています。


えっと、それってとても違和感を持つのですね。なぜかというと、結局、このサーバント型のプロジェクトマネージだってそのサーバント型を選ぶ目的はプロジェクトの成功のためにメンバを最大限に貢献してもらうことですから。


でもこのサーバント型のプロジェクトマネージャもメンバが最大限のパフォーマンスを発揮できるようにメンバを把握しておかなければならず、結局メンバに目が届く範囲のキャパシティに制限されてしまうのですから。この点で言えば、命令型に近いけれどある意味プロジェクトの調整をするので調整型でもあるともいえる。要は命令型と調整型の中間に属するのですね。


個人的に言えば、サーバント型はメンバの基礎スキルをスポイルすることが起き得るのであまり宜しくない。パフォーマンスを最大限に引き出したいなら調整型で、自分の限度を超えない自身があるなら命令型でもどうぞ、というところでしょうか。


ちなみに命令型の目の届く範囲にステークホルダまで含まれるのでその辺もカウントしないとあっという間に潰れますから。