プロジェクトマネージャのスキル・コンピテンシに丁字型が望まれる理由


プロジェクトマネージャに必要なスキル、コンピテンシーは広く浅くなゼネラリストがいいのか、それとも縦に深い専門家のどちらがいいと思いますか。


ある時期、「担当する部門のプロジェクトマネージャに(限定したときに)必要なスキルは何か」と部長クラスにインタビューをしたことがあります。どの部長もインタビューの最後には、この意見に収斂していきました。

「何でもいいけれど1つは技術領域で専門性を持っていること、それ以外は広く浅い見識を持っていてほしい」


この意見にワタシも賛成です。大規模なプロジェクトのマネージメントばかりするのでなければ逆に言うと、大規模プロジェクトだけを専門にプロジェクトマネージャを担うなら、技術的な専門性はプロジェクトチームを編成する際にアーキテクトを入れることで技術的な専門性を自分の代替として充当することが出来ます。


でも、それは大規模なプロジェクトであれば、です。ケースによっては中規模でも行けると思いますが、中小規模のプロジェクトで技術的な思考が高い場合にはプロジェクトの主な課題は技術的なテーマの比重が多くなりますし、少人数のプロジェクトの場合はプレイングマネージャを想定したアサインになるのでコスト上の問題からも専門性を持たないプロジェクトマネージャのアサインは現実的でなくなります。


このあたりは組織のプロジェクトのビジネスサイズがどのあたりのバンドがビジネスの主流かで判断が変わるところでしょう。大規模なプロジェクトが主流でプロジェクトマネージャに必要なスキル・コンピテンシを広く浅く要求するケースを横一文字型のスキル・コンピテンシとします。
#本当は英字一文字で表せると良いのですが適当な文字がないので。


では、部長たちが望む一つの技術領域で専門性を持つタイプを望んでいるのはなぜでしょうか。さきに触れましたが、技術的な課題がキーワードになります。


プロジェクトで技術的な課題が生じた場合、解決のために事象を理解し解決に向けてメンバを動かす必要があります。その最初の事象の理解をするのに起きている事象とは違う技術領域であっても、専門性を持っているなら問題解決のアプローチを知っていることになります。そのアプローチ方法をひな型にして、プロジェクトで適用している技術を当てはめれば問題解決の大枠を踏み外すことはありません。


もう一つの面として、技術領域に専門性を持っていると領域が違ってもチームメンバが話す技術的な言葉を概念的に理解することを助けます。技術的なベースがあるので会話のコンテキストが高く始められるというメリットがあります。


もちろん、適用技術の特性によりまったく調整が必要ないわけではありませんが、それはメンバと相互補完すればいいのです。プロジェクトの課題解決をすべてプロジェクトマネージャがする必要はありません。課題解決はチームとして行えればいいのです。


というわけで、プロジェクトマネージャには一つの技術領域で専門性を持つタイプが望ましい、というわけです。このタイプを横一文字型に対比して丁字のスキル・コンピテンシになります。
#ほんとはT字型が適当なのですが…