雑なシステムエンジニアは明日の自分が楽になることを考えていない
プロジェクトで作るアウトプットは、成果物として更新し続けるモノと一度作ったらそれ以降更新しないモノの2種類がある。QMS的には更新し続ける前者は文書として扱い、つねに最新の版を閲覧できるようにしておく必要がある。後者の一度作成したら更新しないモノは記録として扱われる。例をあげれば、前者は設計書やプログラムがあり、後者は議事録や試験のエビデンスなどがある。
雑なシステムエンジニアのアウトプット
継続的に更新が想定される課題管理一覧や情報整理のための一覧の作成を依頼すると雑な出来で持ってくるシステムエンジニアに出会うことが少なくない。作ったら一度きりでしか使わないアウトプットであれば、体裁を含め、多少の分かりやすさなどの使い勝手などは「一度しか使わないのだから」優先順位を下げるのは良い判断だと思う。
けれども、設計工程で情報を整理して、製造工程で使うとか、その後の運用で参照するというようなことが安易に想定できる場合でも、アウトプットを雑に作るシステムエンジニアが存在する。雑なアウトプットを作るシステムエンジニアの年齢は経験上、特に偏っていることはないので個人の特性として持っていると推察される。
その雑さは、見た目が90%悪いところから見分けることは容易い。
更新し続ける文書を作成する上でちょっとだけ工夫しておくこと
プロジェクトの間だけでも使い続ける文書があるなら、使い勝手がよいように工夫することは、プロジェクト全体の工数を無駄に消費することを回避する策となるでの気にしておきたい。5人のチームでひとり当たり週に10分参照、更新する文書があるとして、見やすく、更新しやすければそれを短縮することが可能になる。プロジェクトが6ヶ月であれば*24週分の無駄を減らすことができるわけで、逆に配慮しておかなければその分ドブに捨てるようなものである。プロジェクトマネージャはもちろん、メンバの方が無駄なことはやりたくないと思っているのだから、やらない手はない。
- 一覧はディスプレイの横幅に入るように列を割り当てる
あまりにも横長なら仕方がないが、極力画面表示できるサイズに調整する。横スクロールをした途端、記憶と突き合わせる必要が出てくる。だったら、A3サイズに合うようにデザインして紙で見る方がよい。
- 印刷設定をする
顧客と紙で会議をする運営の場合は必須だが、印刷設定をきちんとしておく。取り扱う情報量により、縮小印刷せざるを得ない場合、実際に印刷して9ポイント程度で表示されることを確認しておく。これ以上小さくなると見ることを諦める人が出てくる。
- 項目の順序を考える
DBのキーが左や最上位に置くようにデータを整理する際にキーとなる情報を左や最上位から配置する。順番を一つ変えるだけで使い勝手が変わる。これはピボットを使えばどうにでもなることもあるが。
明日の自分の負債を減らすという考え
何を細かいことを言っているんだ、と思うかもしれないけれど、これは明日の自分が少しでも楽をするためのちょっとした工夫でしかない。前に書いた文書的負債を減らすちょっとした工夫である。
明日の自分が楽になるということは、明日のメンバも楽になるということでもある。リーダやプロジェクトマネージャはこうしたことも踏まえて、雛形となるテンプレを一つ持っておくと良い。それを配って改変して貰えば良いのだから。