必要なことを足して構成するアプローチの良し悪し
過日、こんなことを呟いた。
減らすのと、足すのどちらが簡単か。減らすためには目的を理解できなければ減らしていいかの判断がつかないし、知識がなければ足すことはできないし。
— ふみさん (@finayama) 2018年5月4日
これは、こんなことを考えていた。
開発プロセスのテーラリングは、オーバーオールに体系化された項目から不要な項目を削除するよりは、本質として外せない最小限の体系に必要な項目を足す方が楽だ。
と言う考えを見かけたからだ。
それを読んで、そうかな、と感覚的にそんなことないよ、と思った。感覚的に反応するのもアレ(自分の思慮の浅さ)となってしまうのも自分自身に対して如何と言う感じなのと自分の考えの正誤を確かめたく、表に整理した。
表の項目を分ける条件は次の項目である。1つは体系化された項目から削る、足すと言う振る舞い。もう一つはそれらとの組み合わせとなる別の軸である。
その軸を削る、足すは「何に基づいて」行われるのかと言う事前条件で組み合わせることにした。
この表の組み合わせからfacebookに書かれたことは、達成条件を理解できていると言う前提条件があるように思える。そうでなければ、達成条件を理解できているから足す方が楽だ、が選択肢にならない。
これが正しいと考えるのは、最大限の体系から不要と判断した項目を削除することも最小限の体系に必要とする項目を足すことも同じ結果を得られるからだ。
そこで、「達成条件を理解できないと」と真逆の条件のケースを作り、検証する。達成条件を理解できなと削るときに「不必要な項目を削除することが出来ない」となる。削ってしまっていいかどうか判断基準を誤って理解しているために起きる結果は不必要な項目を削除することが出来ないのである。
同様に達成条件を理解できないまま最小の体系に項目を足そうとすると達成条件を理解できていないため「必要な項目を足すことが出来ない」のである。
この結果でおやっと気づいたのは、達成条件を理解できる、理解できない方の項目の方がより重要な観点ではないかと言うことだ。この気づきを得られただけでも表を作って整理した甲斐があるというものだ。
元々のfacebookへの書き込みは「最小限の体系に足す方が楽だ」である。でもそれは最小限の体系を理解していることが前提である。さらに、追加で体系に項目(要素でもいい)を足すための経験若しくは知識としての知的体系が必要となる。それらのためには達成条件自体を理解できなければならず、これが一番効いてくる。
ところで、知らないことは知りようがないため、意思決定の際に知らないことは反映できない。別の考え方で、知らない(=理解できていない)場合、間違った判断をすることがあるかもしれないがその間違いが判断ができずに残す方に傾いた場合、結果的には(残す方が)正しい解答を得られるかもしれない。その際の副作用は、判断できずに残してしまったことで本来不要だった項目の対応コストを削減することができずに残してしまうと言うものがある。
それ(=不要なものを残してしまう)が嫌なら、早く試し、早く軌道修正(=ピボット)するほかない。
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