年上の50代のエンジニアを育てる

年上のメンバがいた。2−3歳くらい上だったと思う。技術的にはとても優秀で、業務を進める上で抜け漏れなどの考慮不足を許さない気質から気配りもするし、人当たりもとてもソフトなエンジニアだ。

若手エンジニアが技術習得に時間を使っていなければ、時間を取って更新育成もする。

なかなか、いいエンジニアでしょ。

もちろん、得意なスキルもあれば、不得手なスキルもある。ファシリテーションは今ひとつだし、進行させるとついつい技術よりに話が行ってしまい収集がつかないときもある。

簡単にまとめれば、技術は優秀だけどドジっ子なお兄ちゃんなエンジニア、である。

多分、技術的に優れているので誰もドジっ子な部分があっても誰もあれこれ言わない。というか言えない、のかもしれない。技術の部分については、製品仕様や機能としてリファレンスがあるので間違っていれば若手でも「違いますよ」と言いやすい。「ほら、ここに書いてありますよ」とさし示すことができるからだ。

ただ、プロジェクトでのファシリテーションや運営になるとリーダとしての資質の部分や経験知によるドジっ子なお兄ちゃんエンジニアの世界が繰り広げられるので同じチームになったメンバはお付き合いするほかない。

これは他のプロジェクトマネージャであっても同じである。リーダ役が広げる世界観でプレイする他ないのだ。でも、いくら技術的に優秀でも天は二物を与えないようなので、お兄ちゃんエンジニアにドジっ子属性を与えることにしたらしい。

ドジっ子属性満載でファシリをすると技術よりそっちでドッタンバッタン大騒ぎになる。側で見ている分には面白いので放置する。

でも、そのドジっ子属性を誰からも突っ込まれないのはキャラとして可哀想だ。これはドジっ子属性というよりは、年齢的なところにもよるのかもしれない。年上だからね。

そうした技術が優秀でドジっ子であることを(一応は)理解しているので学ぶことについては人一倍貪欲である。

苦手だけれど、苦手だから、ある意味、コンプレックスになっている部分もあるのだろう。

でも、誰もそういったところは面と向かって言わない。

なので、マネージャとしてあれこれとおもちゃを渡す。例えば、人的ネットワークでつながっている専門家のワークショップのようなものを見つけて「こんなのがあるよ」と情報を渡す。同じように人的ネットワークでつながっている人が書いた書籍のタイトルをアマゾンで見せて、書店で中身を見てみたらと情報を渡す。

あとで聞いたら、ワークショップは行ったらしい。それで、ああいったスキルを身に付けたいが多分自分の性格的に無理かもしれないけれど理屈も効果も勉強になったと話してくれた。ああいったことができるようになりたいとも言っていた。

多分、根本的にドジっ子属性なところは本人がいくら望んでも変えられないだろう。でも、それでいいのだ。ときどき、思い出して、使ってみれくれれば。

そんなことを考えていて、ああ、年上の50代のエンジニアでもまだ、育てられるのだな、と。