「コスト意識を持て」と言われたらリターンを増やすアプローチを考える
「コスト意識を持て」とよく聞くが、そういうことを言う人はその人自身にコスト意識がないことが多い。コスト意識を持てと言うなら、具体的にこうしろと言って指示する方がそれこそストレートに伝わるのだからコスト意識がある発言である。
まあ、それでもコストを知ることはエンジニアにとってもいいことだ。プロジェクトの限られたリソースをどこにどれだけ使おうとしているか、実際使ってみてどうだったかを理解するだけで働き方が変わってくるだろう。別のことに集中してしまうと忘れてしまうかもしれないが、それでも時々思い出すだけでもいい。
例えば、会議の値段を考えてみよう。
5人でプロジェクトを回しているチームがあるとする。
- プロジェクトマネージャ:1名
- リードエンジニア:1名
- エンジニア:3名
簡便的に時間給を以下とする。
- プロジェクトマネージャ:1万円/1時間
- リードエンジニア:5千円/1時間
- 担当エンジニア:3千円/1時間
会議体として、進捗会議を1時間開催するとする。
ではこのプロジェクトの会議のコストはいくらか。
1時間あたり24,000円掛かっている。大した金額ではないと思うかもしれないし、人によっては「高いな」と思うかもしれない。
1回当たりだと感覚がわからないかもしれないので3ヶ月(4週*6ヶ月)で計算するとどう感じるだろう。
576,000円となると会議のコストに対する感じ方が変わらないだろうか。感覚が掴めない人は、自分の趣味のグッズが何個買えるか換算するといい。
ここで、あなたが会議のコストに対して「高いな」と思ったなら、何が高いと思ったのだろうか。
何に高いと感じるかは人それぞれかもしれないが、『会議』であれば会議の結果が576,000円に見合っているかどうかに対して『高い』と感じたのではないだろうか。
会議の目的が情報共有やノウハウの共有で、その会議を行うことで会議後の手戻りやメンバ一人ひとりの試行錯誤が減らせるなら24,000円以上の価値を感じ、安いと思うだろう。逆に会議を開き、情報共有をしたにも関わらず共有されたことが現場で繰り返されたなら、その会議は24,000円の価値がなかったと言うことになる。
同じように、進捗会議で遅延や困っていることを共有していなかったら、進捗会議の意味がなさないのだから、高く感じるだろう。
週1時間の進捗会議を日次の朝会に変え12分で終わるように変えよう。
週次(週1回、1時間)の進捗会議と日次の朝会(12分*5回)の会議時間に掛かるコストは同じである。1回当たりのコストが変わらないように時間を設定しているから変わらないのは当たり前だが、会議の価値は上がっている。
なぜなら、日々、進捗がわかるようになることとでプロジェクトのリスクを小さなうちに識別できるようになるためである。
「コスト意識を持て」と言われて何かアクションをしなければならなくなったら、会議などのアクティビティによるリターンをコスト以上の物を毎回得られるようにする策もあるが、間接的にリターンを増やす(マイナスリスクを低減する)仕組みを変えることも1つの手である。