『共創』はITベンダが使うまやかし

事業会社のIT部門の技術力低下や頼りないと言われて随分経つような気がする。主要なベンダにシステム化を丸投げし、組織内の調整に翻弄するから適用技術の習得まで手が回らず次第に技術の主導権はベンダに移ってしまう、ようなケースも言われている。日経BPホニャララ系のサイトでは頼りないIT部門として辛辣に叩かれる対象でもある。

青い銀行の再構築も切り替えフェーズに入り、IT業界全体としての需要は低下するものだと思っていたら、相変わらず需要旺盛でエンジニアは売り切れていていると聞くし、実際、所属する組織でも対応できるエンジニアがいないのでビジネスを先送りしている状態らしい。

一方で、人に会うと何度となく聞くケースに様々なサービス、製品は提供されるが、提供までであって、それをインテグレートする、つまり業務に適用できるエンジニアなり、IT部門がいないのだという。

自分が知っている常識で言えば、業務にどう適用するかはIT部門の分掌であって、ITベンダが出てくる幕ではない。であるとの考えから共創などという言葉をITベンダが使うことに違和感を覚えるし、その共創という言葉自体に業務主管を曖昧にしてそこに漬け込むITベンダなりコンサルの魂胆が見え透けているところが微妙な気持ちにさせる。

共創について詳しく知らなかったのでgoogle先生に聞いてみたらここを教えてくれた。

 

www.netcommerce.co.jp

 

共創の定義は、

『企業が、様々なステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造するとという概念「Co-Creation」の日本語訳です。』

なのだという。まんまの訳である。

共創が生まれた背景には、

「市場の変化に合わせて。戦略を動かし続ける」

ことをしなければ

『連続的に競合優位を生みだし続けることができなければ、生き残れない時代となったのです。』

 のだという。

で、である。それがそうだとして、ではなぜ様々なステークホルダと協働に結びつくのかが理解できない。本来は、事業主体者が自ら連続的な競合優位性を持った価値を作り出差なければならないのではないか。

そう考えるとステークホルダにITベンダやコンサルは入る余地はない。彼らは事業主体者の業務のアウトソースでしかないからだ。事業主体者が内製すれば入り込む余地はない。そう言った考えに基づくと、ITベンダやコンサルが共創というのは『だいぶ違うな』と思わざるを得ない。

ところで、割と昔からITベンダやコンサルから出向の形態でIT部門要員として受け入れている事業会社がいくつもある。IT部門のリソース不足もあるのだろうが、ITリテラシのない社員より事業課題の解決手段のITの専門性を持つエンジニアなりコンサルをテーマごとで有期限で置いた方が良いという考え方なのだろう。

もちろん、こうした形態は紐付き円借款のようなもので建前上は競争入札であっても紐付きになる。

そうした様式美はさておき、共創などと外野から得体も知れない概念でおこぼれを狙うより、出向形式でのIT部門への参加の方が本物の『共創』なのではないか。それは、一時期だとしても出向するIT部門の事業会社の所属になり、その責を担うからである。

であるから共創を前面に出しているITベンダやコンサルはまやかしだなぁと思うが違うのだろうか。

 

 

 

 

コ・イノベーション経営: 価値共創の未来に向けて

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