その業務知識、リーダが持たなければなりませんか
昨日見かけたブログで『業務知識を持たないリーダーで大丈夫か?』という問いかけがあり、自分が携わっている事業会社のことや組織の中でのリーダの分掌とは、などをモニョモニョと考えていた。
きっかけのブログでは、組織づくりばかりしていても製品は良くならない、と戒め的なことを書かれていて、ごもっともだなぁと思う。
さて、観測の範囲(携わっている事業会社や過去の別の事業会社など)を一般論として考えると、組織構造は、現業である事業部門と本社IT部門で構成されている。もちろん、事業部門は製品開発や販売をするのでそのトップはその事業を経験されてきている方がされている。製品開発もIT投資も主体者は、事業部門であり、本社IT部門から見れば事業部門主管のIT投資は関与できない。できて予算管理だけである。こうした形態を取っている事業会社のリーダは、必然的に業務知識を身に着ける。
本社IT部門は、事業部門でのITを担っていた人が異動するか生粋のIT部門のメンバで構成する。場合によっては、情報システム子会社やベンダから出向というケースもあるようだ。多分にこの本社IT部門で生粋に育ってしまうと件の『業務知識を持たない』部員を育てることになってしまう。リーダ(要はマネージャ)が事業部門経験者であれば、そうした危惧を抱くことはままあるようで、『一度現場を経験させないとあとあとIT企画で現場を知らない計画を作るから本人のためにも良くない』と言う。
上述の事業部門と本社IT部門を比較すると、リーダで『業務知識を持たないリーダ』になる可能性が高いのは本社IT部門しかない。
他の可能性を考えると、所謂、MBA持ちのエリートがトップやそれなりの役員のポジションに就くケースだと『業務知識を持たないリーダー』を産んでしまう。ただ、そうした人たちは、仮説検証型で進めるから、仮説を立てる際に相応の情報を収集し、意思決定する(ハズ)である。
そうすると、それ以外でどのようなケースがあるかを考えると中間管理職で担当事業の業務知識を持たないリーダがいる場合を思いつく。リーダ(マネージャ)になっているのでもともと勉強ができる人たちだった(ハズ)だが、それをしなくても仕事としてなんとかなってしまっていると業務知識を持たなくてもそのポジションであれば生き延びているのかもしれない。ここのポジションこそ、エンジニアのコンタクトが多いロールである。
製品開発であると部門長かその下の部長級のイメージを持つのだが、そうした役割の人はメンバのやっていることに対する説明責任を持つから、概念的には理解できている(ハズ)だが、ここでの問題は、意思決定にウェイトの軸を移しているから、技術の良し悪しまでは結果的に手薄になってしまうと言うことが問題なのかもしれない。
製品を早くリリースすることで市場の反応をみて、開発にフィードバックするようなビジネスニーズがあるのであれば、分掌を見直し、技術まで見極められる職務とする調整を行う必要があるかもしれない。
結局、組織としてどうしたいかがないと分掌の見直しはできない。それはトップが指示すれば良いのである(組織デザインをするのは経営者)。そのトップに意識づけをするのは、ビジネスニーズ(ざっくりとまとめ過ぎ感はあるが)である。
ここまで書いて、事業部門と本社IT部門と分離していないケースであったらどうかと思いつく。多分、こっちの方が本命なのかもしれない。事業をしていて自らシステムを作り上げる。SaaSer的な事業などがそれにあたるのだろう。
この場合は、事業とITが同じ役割なので前述した分掌の概念が当てはまらない。つまり、製品開発を間違えるとダメージが高い割に分掌出来ていないために、リーダやメンバのリソースをミッションレベルで奪い合うためムラが出る。それを回避する前提を設けないとITに専念できない。組織を弄くり回すことは一切無駄であり、しなければならないのは、業務知識を持つロールを置くことである。それはリーダである必要はないが、リーダはどこで意思決定するか、そちらの特性を持っていなければならなくなる。