身につけるまで10年掛かる業務知識、トレンドを追う業務知識

昨日の業務知識をテーマとしたエントリを書いた後、20年くらい前に『それはやばいな』と思い出した。

その前に、昨日書いた業務知識の元のエントリでは、どうやら最後に述べたことがそのエントリで言いたかったことだったようだ。端的に言えば、ユーザ業務ではなく、ユーザ業務を実現するITを含む、というものである。

20年前のことに話を戻そう。

当時、所蔵する組織のミーティングか研修か何かしらの集まりの場でエンジニアが一人前になるまでどのくらい時間が必要かというものだったと思う。

  • 身につけるまでに10年掛かる業務知識
    ある事業所では、事業会社のアプリケーションを開発しているが、一人前に育つまでに10年かかるのだという。10年掛かるのはそれだけ知識として必要となる業務が複雑で難易度も高いことが考えられる(詳しくは知らないので想定でしかないがそうでなければ辻褄が合わない)。さらに予算的な制約があり、何人もエンジニアをつけることはできない。一見、同じようなアプリを維持するからなり手も無いのだという。
    ただ、育成するための準備を十分できているかどうか、業務知識を学ぶための環境を整備しているかどうかという疑念は残る。前述の制約からこうしたところまで手が回らず、悪循環になっているのかもしれないし、教える側が旧態依然とした見て覚えろ系かもしれない。これについての真偽はわからない。
    こうした書き方をすると、そのビジネスから撤退すればいいじゃ無いかと考える人もいるかもしれない。補足しておくと、その事業は全体では大きい事業であるからそこだけ撤退することはビジネス的にはできないのという事情がある。
    極端であるが、このようなビジネスにおいてマネージャやリーダに必要な業務知識とは、身につけるまでに10年掛かる業務知識でも実現するIT技術でも無い。

若かったかもしれないし、必要性はあるとしても、その10年も業務を知るために時間を要する現場はたまったものでは無いな、と思ったものである。

特に、1年でどのような成果を出すか=どのような新しい技術を身につけるか、ロールを上げるかを考えるようになると、そうした業務には考えさせられるものがある。

  • トレンドを追う業務知識
    業務知識とは、事業者のセクターに根を下ろすドメインに依存するものばかりでは無い。どのセクターの業務でも共通する業務があり、その業務を切り出して共通業務と捉えることもできる。本社管理系はそれに該当するし、業務システムやインフラ基盤でも共通の業務として必要な業務知識もある。
    こうしたものに該当する業務知識のなかで、技術的にトレンドを伴う業務もある。そうした業務では技術トレンドが速いため、実現するIT技術も新しい技術を適用することが多い。こうした業務では、業務知識の他にIT技術まで含めた知識を必要とする。要は、業務+IT=業務知識の構図となっている。
    トレンドを追う業務知識では、潮流が速いため意思決定を遅らせると致命傷となる。よって、リーダやマネージャは業務+ITである業務知識を持ち合わせなければ即死するかもしれない。ただ、それが無理であるなら、業務知識としてITをわかるロールをリーダやマネージャにおかなければならないだろう。

これから前者から後者に移るかといえば、そうだろうし、その転換は急な業務もあるだろうし、影響を受けない業務もあるだろう。リーダやマネージャは、担当しているビジネスがどれに当たるか見極められる能力がないとエンジニアは巻き添いを食うかもしれない。

いや、エンジニア自身がそれを嗅ぎ分ける必要があるのであるが。