周回遅れで“アジャイルと規律”を読み終えて
昨日、アジャイルと規律を読み終えた。後半、いや本編の4章は事例による開発プロセスの検証であったから、実質はその前日には読み終えていたことになる。そこまで読んでいたとは言え、感覚が胸騒ぎを起こす。これはとっても大事な感覚だ。事例は退屈かもしれないがその先に、きっと役に立つとフラグを立てているのだ。子供がPSPでアドパをやっている横で、床にごろっと寝て読み続ける。先を読めと言う大事な感覚を信じて。
読むキッカケ
とても簡単な理由だ。これまでマネージャとして第三者の役割で関与していたプロジェクトがウォーターフォールで上手く回らない兆候を察し、アジャイルのスクラムを取り入れたからだ。彼らのチームはウォータフォールでは上手く回せないことがわかった。カイゼンすべく手は色々打ったが一向に良くなる気配が見受けられない。何か、別の全く違う方法で彼らのチームを変えていく方法を探さなくてはならなかった。そうしなければ、これまでの綱渡りから離脱することが叶わなかったからだ。ただ、いきなり手法を変えることは、綱渡りとしても人は慣れ親しんだやり方に固執するもので拒絶反応を起こすのだ。それをやんわりと変えていく必要がある。一方、プロジェクトにはスポンサーがいて、いきなりやり方や言葉を変えることはスポンサー自身が組織内で説明を求められたときにスタックする可能性があるのでそれも難易度が高い。だから、こう考えたのだ。
ウォータフォールの概念はそのまま。いまワタシがチームに求めているのは、自立したメンバがコミットした日に苦もなくリリースできるように変わることだ。ワタシは変わる素材をチームと言う大鍋にレシピと共に投げ込むのだ。そして混ぜあうように柄杓を回すことを教えることだ。
計画どおりに行かないWBSならゴミと同じだ。そんなものはいらない。確実にリリースできるようにDoneを定義し直しすることを要求した。誰が何をしているのかなぜ作業が詰まってしまうのか見える化させた。それらの示唆や指示は、アジャイルサムライやネットでその道の先駆者から情報を集め、咀嚼し、実践に投入した。都度、思うのだ、これが正しいのかと。だから、探す。補強する知を。
経験から知っていたこと
これまでのエンジニア、プロジェクトマネージャそしてマネージャとして、ほとんどの開発方法論はウォータフォールであった。金融の重厚長大な手法から検証のような手軽なものまですべてウォータフォールだ。ITエンジ二アリングの基本はウォータフォールで間違いない。が、これまで幾多もあったように新しい手法が出てくる。でも、残っているのはごく一部の手法だ。とはいえ、今のような短工期、低価格な契約ではリスクが高すぎるし顧客が欲しがるリリースには間に合わない。何か変革が必要なのだ。仮に変革があったとしても世間の慣習はそう簡単に変えられないから、“ゆるく”変革を取り入れる必要があるのだ。変革はすべてではなく、少しずつ。
経験上、ウォータフォールが一人前に出来なければ、ほかの開発プロセスが上手く行くはずがないと思っている。何かが出来るなら、ほかのも出来るだろう。何もやりきれないなら、新しいことが出来るわけがないし、そのようなリスクを進んで買いはしない。それは博打だからだ。
枠組みは変えなくても、枠の中のやり方を変えることは出来る。そして、実際にやり方を変えてチームに変革の波紋を作ることが出来た。チームは力を持っているが、一人ひとりの自律が足らないのだ。本来であればチームのリーダが異変に気付いて茹で蛙になっていたチームを自ら救うことも可能だったが、リーダが自らチームと一緒に茹ってしまったのでは仕方がない。このような状況になるのは良く目にする光景だ。あと少し間違えると、トラブルになる紙一重の状態だ。それをおかしいと“感じ”、大々的ではなく、実を取れるように変革を促す。チームで変われることに限定して変わらせる。それもこれも、経験から知っていたことだ。だが、地の裏づけがなかった。
知的体系の整理若しくは頭の体操
アジャイルの書籍はたくさん出ている。しかし読めるのは一度に一冊だ。だから、闇雲に積んどくにするるわけにはいかない。よってリアルな書店に足しげく通い、どれが自分に必要な書籍かを見定める。その結果がアジャイルと規律だったわけだ。予想以上に得られたものが多い。ウォータフォールの良い面、アジャイルの良い面、そのほかの開発プロセス論の良い点が一冊で整理されているからだ。実践で持っていたウォーターフォールの良さ、アジャイルの自律した組織活動の良さ、それをハイブリッドでやればいいじゃないか、と“勘で見通し実践で裏付けた”経験が、書籍でも後押ししてもらえたときの“うれしさ”は言葉に出来ないくらいだったし、これは自分自身でかみ締めるものだろうから誰にも言わない。
#あ、ここに書いちゃったけど。
そうやって実践を理論で体系定期に整理することは頭の体操になってさらにワタシとチームを前に進めるだろう。
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