課題の見える化とその先にあるもの

プロジェクトマネージャをやる前、そう、エンジニアのときは余りプロジェクトの経緯を残すことの重要さを理解していなかったのです。どちらかと言えば面倒で仕方がなかったと言うのが本音だったのでしょう。
#もう、過去の自分なので別人ですから他人のような表現になっています。


プロジェクトマネージャに必要なこと
あなたがプロジェクトマネージャになったら、やらなければならないことが二つあります。

一つ目は、計画を作り、更新し続けること。
二つ目は、記録、プロジェクトのログを取り続けること。


一つ目の必要なことは、特に説明はいらないのではないかと思います。二つ目はなぜだか分かりますか。


生命線の課題管理
ワタシのプロジェクトでは、WBSとメールと課題管理が三種の神器でした。

WBSは、言わずもがな、チームのメンバがソレを見れば何をしていて、次に何をするのか共有するために仔細まで展開したものを佳境のときはそれこそ都度、更新と印刷して手元に配り、読み合わせしていました。

メールは、顧客との、組織との、そしてチームでのコミュニケーションの備忘のために使っていました。顧客とは課題や宿題の授受とか、要望の受付とか。組織とは正にプロジェクトを管理するための様々な管理業務で。そして、チームの中では、対面で交わしたこと、特に依頼系のものごとを忘れないようにリマインダとして使うことが多かった、様な気がします。それは多分、毎日沢山のメールに埋もれてしまう大事なタスクを探して掘り出すくらいなら、対面で、対面でメモしてあるからToDoに入るのですが、それでも漏れない様に念には念を入れるために。メールだけだと埋もれて、ということと矛盾しているようですが、対面の補助でのメールは効果的なので。

課題管理は、プロジェクトを進めながら起きる様々なことを書き記す正にプロジェクトのライフログ的に使っていました。兎に角、書く。ただそれだけ。

毎日届き、送信するメール、掛かってくる電話、チームメンバとのミーティングでドッキリさせられる発見。そしてプロジェクトを推進するために必要な計画や実績の較差から取るリカバリプラン。これらの事象をすべて記憶するには人の記憶力はカバーしきれない。何より、記憶はチームのメンバとでも共有ができない。それぞれの記憶は、ワタシと同じ記憶ではないのです。

プロジェクトを上手く進めるには、共有できるモノがないと空中戦になって進むものも進まなくなります。それは望むところではありません。“いつ”、“誰が”、“何をしたか”、“何時までに”、何をするか”を共通の土台に書き記す。もしソレをしなければ、

“一回もセーブしないでゲームをするようなもの”


です。
ワタシのPSPは、バッテリのケースが緩くて、かばんに入れておくと時々外れてしまうので、サスペンドしているときにバッテリが外れてしまうとパーになってしまう。
#「クリアしたばかりのクエストが...」と何度か痛い目にあっています。


譲歩するのは誰?
記憶に記録していて、プロジェクトが上手く行っているときはいいのですが、必ず、顧客から厳しい要求が何度かあるものです。そのとき、記憶を元にどのようにコミュニケーションするのか。揉めたときは、大体、負けますよ。譲歩するのはこちら側です。


課題を把握し、理解する意図
プロジェクトマネージャがそのプロジェクトに適用する技術を分かっている場合もあるし、分かっていないこともあります。それは、プロジェクトマネージャが目指す指向もあるので一概にどちらが良い悪いをするようなものではありません。

ただ、プロジェクトをキャリーする上で、プロジェクト上、知っておかなければならないことがあるのも事実です。顧客とのセッションミーティングに出す資料は、そのプロジェクトの責任者として少なくとも“理解”しなければ、そのセッションに出席する意味がありません。その意味で、技術に聡くなくても、そのセッションでテーマとなる事柄について、事前に一読し、知らない言葉がないか、何を伝え、何を決めるのかをプロジェクトマネージャとして把握しておく責務があります。

事前に何が話題となり、何を決めるかを知ることで、顧客に出す前にシステムの要件としての課題を掴めるという利点もあります。ワタシの場合、話すことの概要を理解することと課題を掴むという理由だけで、必ず事前に目を通すことを日課として自分に課していたものです。


課題の見える化とその先にあるもの
同じように、顧客の要求も日々大なり小なりあがってくるもので、それを書き留めるには課題管理がリーズナブルです。その要求をやるかやらないかは、顧客との協議の先の話なので問題ではありません。それを受け止めたということを目に見える形にすることで、顧客は満足するものです。そのあと、スコープ外ならどのように扱うか、それこそ、仕様変更なり、変更管理なりのプロセスに乗せればよいのです。

見える形で、課題管理なので文字ベースですが、それでも顧客が何を望んでいるかを書き表すと何を望んでいるか、その要求を理解しやすくなるものです。その理解から、新たな課題があるとか、理解を助けます。

顧客が何を望んでいるか理解できているかは、自分の言葉で理解し、それを顧客に返さない限り、判別できません。その理解を助ける術として、課題管理が役に立ちます。

形を覚えて、形を舞う。そのはじめは形を知ることです。顧客の要望を知り、何をしなければならないかは、経を写し書きするように、書き出すことで知ることができるのです。





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ちまちまと、空き時間で読んでいます。



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