ファシリテーション力とは結局交渉力なのではないか


ミーティングで空中戦を止めさせるためには、ホワイトボードでも模造紙でもA3のコピー用紙でもなんでもいいから、飛び交う言葉を文字に変換して見える形に現すことが大事だね、って昨日書いたんだけれど、その飛び交う言葉を一語一句を現すのはスペースの制限から収まり切らないから何等かしか要約しないと収まらないよね。


ホワイトボードの要約はファシリテータの理解のままでよいか
だから、四方八方にとびっちっていそうな言葉を要約しないといけない訳だけど、それは“ファシリテータの理解をそのままで表現して構わないのか”、ってことです。


空中戦をする人の言葉は話す人がその人の“理解している意味”で使っているでのあって、同じ言葉でも聞き手の人が同じ言葉を“同じ意味で”理解して聞いているとは限らないんですよ。だから、勘違いもするし、勘違いしないように前後のコンテキストを持って足らない情報を無意識に補完してしまっている。


“無意識に”ってところがどうもいけない。それは受け手が無意識に自分の理解している知識とコンテキストでバイアスを掛毛てしまうということに他ならなってことだから。だから、ファシリテータは要約を書くときに配慮しないといけない。


「あなたの発言をこう要約したんだけどあってる?」


要約したことが発言と一致しているか意図を尋ねる導き方は誘導できる
発言した人の言葉の中から要約して限られたスペースの中で意図を現すために発言者の発した言葉の中からキーワードを拾って繋ぐわけで、何をキーワードとして拾うかはもうそれはファシリテータのセンスに委ねられているところがほとんどで、発言を再構成する他ないんだけれど発言の意図の聞き方はいろいろあるからこれまた要約する側がイニシアティブを握れてしまう。


話す人の顔を見なさい
発言者は、実際に発せられた言葉と同じタイミングでボディランゲージも表している。「話す人の顔を見なさい。」と言うことを子供のころから誰しも言われてきただろうけれど、ボディランゲージを見なさいってことなんだね。失礼かどうかってことではないんだ。


その場で言葉は取り繕って同意するようなことを言っているかもしれなけれど、内心は違うことを思っているかもしれない。実際、「そうですねー。」って言っていても内心「(そんなことないじゃん?)」って思っていることなんて良くあることでしょう。そういうこと。


要約するときだって、顔も見ずに言葉を額面どおりに要約すると後になって総論賛成各論反対や後ろから刺されるかもしれないリスクのタネを見落とすかもしれないのです。


だから、要約を書いてみて、書いた要約を指しながら「こういった表現でいい?」って聞かないとあとでお化けが出るかもしれません。一番いいのは発言した本人にペンを渡して「要約して!」って渡す方法なんですけど。


要約一つにとっても駆け引きだらけ
人と言葉を交わして要約するだけでこうした駆け引きが生じるのはもう交渉そのものです。その結果によってはそのミーティングの議題が将来を左右するならインパクトがあることだしね。


そうするとファシリテーション力だけを強化しても整理屋だけになってしまって、ミーティングの結果を自然に持っていきたい方向に持っていくと言う真っ黒な思いがあるならそっちもやっておかないとファシリテータの思う通りにはならないということになるんですねぇ。


まぁ、ほんとに確保したいことがあるときだけ一生懸命にそれを得られるように交渉力を発揮すればいいだけで普段は仕舞っておくことが多いですけど。


このファシリテーショングラフィックは良いです。お勧め。ファシリテーショングラフィックはこの著者の造語かと思っていたらいくつか本が出てきたのでそれなりに認知されているのでしょうか。お勧めするのは写真や図解を沢山使って説明しているので。

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ハーバード・ビジネス・エッセンシャルズ〈5〉交渉力 (ハーバード・ビジネス・エッセンシャルズ 5)

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