ワタシが考えた最強の組織を作るための処方箋
新任のマネージャになったのはもう一昔も前のことで、あの頃は今と違って若くて(10年も前だから当たり前だ)、元気だったような気がするんだけれど。今思えば、それはそれで何でもできるように思ていたかもしれないなぁ。
そんな新米マネージャでも担当する組織を「ああしたい、こうしたい」とは思っていたのは、マネージャになる前からああしたら、書籍を読んで考えてみたり、実務の課題を意識していたからかもしれない。
「え?そんなこと考えていたの?」って思うかもしれないけれど、そうした自分の身近なボスのマネジメント力のありやなしやが肌を通してわかるのはそのメンバなのは間違いないです。
実際、ボスである上司のマネジメント力やそれを支える組織力の育むコンピテンシを持ち合わせている人は少ないです。とほほ。
ワタシが考える最強の組織
「じゃあ、お前はどうやって担当する組織のちからを育むんだよ?」って思うでしょ。ワタシはこういうことができる組織を作りたいと考えたわけです。
- 規律のある文化
- マルチスキル
- スキル伸長のためのチャレンジングアサイメント
- 継続的な学習をする文化
- 後進育成のためのメンターシップ
なぜ、“規律のある文化”が必要なのか
規律は、ある一定の水準の品質を求めるものです。ある程度の標準化と言ってもいいでしょう。言い換えれば、その組織の中の“プロトコル”を作りましょう、と理解してもらってもいいです。
規律やプロトコルと言っても、ガチガチなもので縛りたいのではなくて、最低限のレベルを合わせたいのです。その最低限のレベルより下はコンテキストの中で当然の品質として織り込んでおきたい、その確立した上でやりたい、というものです。
もちろん、組織である以上、新任のメンバが入ればその規律やプロトコルを知らないのでその最低のレベルの基準線まで引っ張り上げなくてはならないですが、それをするのも別建ての後進育成に繋がるのでその意味でも大切なテーマだと思っています。
他にもいろいろと効用があるのですが、一つ、気を付けないといけないことに、規律やプロトコルは見直すものだ、という考え方が必要であるということです。決めたら変えない、のではなくて、必要都度変えていくのです。それを忘れてはいけない。でも、その変える理由が、面等だから、とか一個人の都合の個別最適で楽をしようとしているならそれはリジェクトされるべき考え方です。
マルチスキル
技術は基礎スキルと問題解決に適用する技術の二つに分かれると思っています。その後者の問題解決に適用する技術は流行り廃りのあるものです。なので、ある特定の適用技術にしがみついているわけにはいかないのです。
ある分野のパッケージを担当しているなら、横のパッケージもできてほしい。問題解決をする業務エリアは同じであれば業務のエッセンスは同じです。それを実現するパッケージが違うだけです。基礎となる技術力だって再利用できるわけです。カバレッジが広くなれば、エンジニアとしての様々な機会を増やせます。
スキル伸長のためのチャレンジングアサイメント
組織は同じメンバでずっとやっていくわけではないのです。1年経ち、2年経てば世代交代が自然とはじまるものです。それを促すのもマネージャの仕事です。とすれば、ロールでアサイメントするときの人としてのリソースをどう把握して、どう伸ばしていくかも重要なテーマです。やっぱりこれも後進育成につながります。
なら、今ある仕事の空きロールに未経験のメンバを考えなしに突っ込めばいいのかと言えば、そういうわけではないのです。本人の希望、マネージャの希望をすり合わせて、今ある仕事をやることで得られそうなコンピテンシを設定して送り出すことがポイントです。
あと、チャレンジにもちょっとだけのチャレンジもあるし、背伸びするチャレンジもあるのです。その背伸びをするチャレンジをさせるときには、それにアサインしたら終わるまできっちりマネージャがウォッチをしないといけないのです。べったりにではなくても、それなりに自ら足を運んで成長を見守るのです。で、期待しない結果になりそうなときは自分がケツを拭く覚悟で送り出すのです。
継続的な学習をする文化
基礎的なスキルと問題解決に適用する技術はそれぞれ学習して実践しないとちからにならないです。理解して手を動かして初めて、身に付くのです。
それを自然とメンバであればやっている文化を作りたい。その姿を見て、後進が学ぶことが当然のことであるという良い意味で勘違いするような環境を作りたい。自ら関心事を作り、内に外に出かけ、刺激を交換してほしいと思うのです。
後進育成のためのメンターシップ
誰もが同じように誰にでも困ったときに相談できるわけではないのです。気が引けるかもしれないし、性格的に合わないのかもしれないし、限定した秘密にしたいのかもしれない。
そのうちの気が引けるところはブレークスルーしてあげたいのです。だから、それをできる人を強制的に結び付けられる場を設けるのです。後輩は先輩の力量や人柄を知ることができるし、先輩は相談を受けることで後輩でならではの視点での気づきを得られるのです。
こうやって見直すと新しいことは何一つないけれど、それを意識するのかしないのかで随分と変わるものです。