良いチームとは


あるプロジェクトのチームはメンバのパフォーマンス、いや違うな、ロールで期待された分掌を果たせない人はご退場願ったり、自ら退場された人もいたけれど、そうしたチームに貢献できるエンジニアだけに新陳代謝されるまでに少なくない時間を掛けたんです。


実際、最初のチームのメンバには、何もパフォーマンスも出さず「対価を得ているよな。」と心底呆れた人もいたりして、こりゃすげぇプロジェクトチームだ、と思ったりしたものです。また同時に、そうした人にはリカバリの機会を与えてみたけれど、100%期待は叶えられることがなかったのは、やはり、誰を一緒のチームメンバとして働くのか、というところを見極める担当者の見極める眼力がモノを言うなぁ、とも思ったものです。SIプロジェクトではプロジェクトのリソースのほとんどがヒトなので、人選を誤ると即プロジェクトへのインパクトになるんだもの。それがどれだけ重要なことなのかわかっていないのは、そうしたメンバで良しとした担当者が自分で技術を持っている分、無自覚にメンバが足らないパフォーマンスは自分がリカバリすればいいんでしょ。という意識をしているのではないか、なんて思ったりして、忙しくても人選にはかかわっておけばよかったんだなぁ、と改めて身を切った代償を思い出しつつ、過ぎたことを思い返すんですね。


なんだかんだで、プロジェクトチームのメンバの更新があって、今はすっかり落ち着いているのですけど。そこまで行くには、「えっ!そんなのSEの基本ジャン?」てなところから正に教育と言うか、躾をせざる得なかった自称システムエンジニアもいたりしたのは良い思い出(自虐だな)に違いない、と思いたい。


チームを変えていく中に取り入れたことが「ふりかえり」で、それも習慣になるまでにはそれなりの時間がかかったけれど、それでもメンバを実質総入れ替えしてからでないと「ふりかえり」自体導入することもできない有様で、逆に言えば「ふりかえり」を導入できるチームはそれなりの成果と出しているチームだからできるし、もう一つ、SEのレベルも下のレベルがそれなりに実力がある=独り立ちはできなくてもリーダのサポートがあれば作業をやりきれる程度のスキルを持っていることは必要なのではないか、と思ったり。


いや、「ふりかえり」をするのに新人とまでは言わないけれど、日常の基本的なふるまいができる「2-3年くらいのメンバでも習うより慣れろでできるよ。」と言うかもしれないけれど、でも、それは基本的なふるまいという基礎スキルがある程度出来上がっていることを前提としているのであって、こんな言い方をすると後出しジャンケンのようでズルいと思うかもしれないけれど、プロジェクトキックオフした頃のパフォーマンスの出ないメンバはその基礎スキルも無かったのです。


そんなこんなで、何代目のプロジェクトチームになるのかわからないですけれど、ふりかえりを導入出来るようになって、それから大分経つんですね。メンバ一人ひとりが成果を出せることを自覚しているし、誰かにタスクが集中しようものなら分担をしようとするようになったし、何より雰囲気がだいぶ良くなった、と感じられるようになったのです。


相変わらず、ワタシはタイミングも場の雰囲気も気にせずに、ダメ出しをするときはダメ出しをするし、気が緩みがちなスケジュールでは理想時間でアウトプットを出すようにストレスを掛けるし。そんなようなことするけれど、それでもチームのメンバは、話を聞いてくれているようだし、何よりワタシに遠慮せずに意見を言ってくれる。


そんなチームの関係もあるのか「ふりかえり」をするにしても、鋭い指摘が出てくるようになったんですね。相変わらずKeepはいまいち感がぬぐえないけれど、Problemは「これ、嫌だ。」から「変えよう。」と表現が変わってきたことからも変化しようと、もっと楽に仕事ができるように、もっと楽に作業品質を確保できるように、と。


そうしたチームのメンバをマネージャが見にくる機会があってポツリと、

「良いチームになったね。」


と。あの夏のプロジェクトチームからスタートして、メンバの更新を繰り返して来たことが無駄ではなかったな、と改めて思ったんです。そう、ワタシの思う理想のチームではないけれど、これはこれで一つの良いチームだと。