ふりかえりで効果が得られないなら計画を疑え
ここ数年、アジャイル開発などの「ふりかえり」や「KPT」が広く取り入れられてきた感じがするのです。
ウォーターフォール開発などでも、プロジェクトが完了した際に今まではプロジェクト上での進捗上の妨げとなったことをしていたメンバを戦犯のように晒す内向きで気乗りのしない反省会から、プロジェクトを通して得た経験を次に繋げるための外向きの会に様変わりしてきた、というように。
ふりかえりで効果が得られないのはナゼ
とは言え、実際の現場でふりかえりをしているとふりかえりの効果を実感できないケースがあります。よくよく話を聞くと、ふりかえりの対象期間で経験した、
・次も続けること
・次は止めること
・次に挑戦すること
の3つでふりかえりをしているのでKPTの要素は押さえてふりかえりをしているようです。それでも効果が感じられないとするならば、どこに原因があるのでしょうか。
ペインを探せ
一見、セオリーどおりにやっているのに期待する効果が得られないときには、いったん、下がって全体を俯瞰します。
そして、闇雲にあれこれと子細を探さないことです。
探すのは本来得たい効果が得られないというペイン、痛みを取り除くことです。
ペインを引き起こしている原因は
「当事者が当然と思っていることが実は原因だった」
というケースが多いのです。当然と思っているのでそうした事柄は当事者の中では暗黙になっているので見つける対象に入っていないのです。
計画は仮説である
プロジェクトマネジメントを実践していると計画は不確実性の高いものであることを知っています。確実性が得られているなら、プロジェクトマネージャを配置してプロジェクトマネジメントをする必要がないのです。
プロジェクトマネージャを配置し、プロジェクトマネジメントの管理手法をとり、プロジェクトをコントロールしようとするのは、プロジェクトの計画自体が不確実性の高いものであると証左しているようなものです。不確実性が高いから道具を作り、道具で制御しようと工夫しているのです。
その計画の成り立ちも、プロジェクトの目的の一環で得たいアウトプットを作るために行う活動で構成しています。これは、計画自体プロジェクトの目的を得るために、
「こうした作業をすればプロジェクトの目的を達成できるはずだ」
という仮説なのです。仮説であるから不確実なのは当然です。
ふりかえりで計画を疑う
ふりかえりでは兎角、作業にフォーカスしてふりかえりを行います。そうですよね。だって、Keep/Problem/Tryは振る舞いを変えようとしているのですから。
でも、その対象が仮説であり、不確実性の高いものだとは思っていません。計画がうまくいかなかった理由を探していることからも伺えます。
もし、ふりかえりで効果が得られないと感じたとき、計画自体に間違った仮説がなかったかをぶつけてみましょう。
チームの成果が出ていない本当のペインはそこにあるかもしれません。

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
- 作者: Esther Derby and Diana Larsen
- 出版社/メーカー: オーム社
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る