チームを変えたいならチーム全員に同じ講座を

ほら、あるじゃないですか。中堅やマネージャになると行かされる外部の集合教育って。教育の専門業者が都心の割とアクセスの良いビルで開いている企業向け研修。

例えば、人間力とか組織活性化とか部下とのツーウエイコミュニケーションとかね。エンジニア向けだとベンダー講座とかシステム開発手法など、どれでも受講料が馬鹿高いですよね。

まあ、無料のものは広告だったり、有償研修の一部のお試し(客寄せ)だったりしますので、ただより高いものはないのですけれど。

研修の評価

企業内研修でもそうですがこうした講座には最後にアンケートがつきものです。そして受講者はみなさん大人なので講座の評価をそこそこ

「有用だ」

と評価します。だって、業務に使えないと思ってそうマークしたら理由の欄にその理由を書かなければならないでしょう。

心から有用だと思う受講者もいるでしょう。受講したその日だけは。

翌日の現場では

週末でなければ翌日、現場で研修前までの仕事を再開するのですが、研修で学習した人間力とか組織活性化とか部下とのツーウエイコミュニケーションの講座のプラクティスを使うでしょうか。

それより、受講してもらってきたテキストはどうしたのでしょう。研修から家に帰ってそのまま本棚あたりに留置しているのではありませんか。よくても仕事場のキャビネの中に直行でしょう。

違うのはベンダーの有償講座で、技術的ノウハウが書かれたテキストは仕事場の机の上に置かれるケースが多いですね。よく見かけますし。ただ、基礎スキル系の○○力や組織開発や意識改革系は見かけたことはないです。

経営者は受講アンケートを見てはいけない

企業内研修で集合教育だと主催者は人事部になります。人事部も、経営課題の解決を経営者から振られるので、今後の企業を背負う中堅の次世代を担うゾーンを狙って改革にふさわしい人を人選するものです(たぶん)。

でも、現実は翌日以降の行動を見れば一目瞭然です。

人事部は受講アンケートをまとめて経営者に報告して振られた経営課題は「対応済み」とするのです。

経営者は、受講アンケートを見ても意味がないことを見抜かなければなりません。本当に調べさせなければならないことは翌日以降の効果測定です。

人、エンジニアに対して投資をしているのですから効果がなければなりません。効果がなければお金をドブに捨てているようなものです。

こうした考え方は、エンジニアの技術研修でも同じです。受講して学習したことを現場で使わなければ高額な受講料は受講者の自己満足で終わってしまうのです。特に、チームビルディングやプロジェクトの運営に関わる講座は。

受講者は誰が適切なのか

翌日の現場でのシーンで学べることは、

「学習したプラクティスを使う環境がなければ学習したことは使わない」

ということです。ましてや○○力などの組織に働きかけるテーマについては、中堅クラスの人が意識を持っても、

「周囲は誰ひとり同じような組織を変えることについて思っていない」

のです。受講者がひとり頑張っても単なる空回りなのです。

組織に変化を求めるのであれば、組織に影響力を与えるほどの権限を持っている人が最有力の候補者です。

もう一つ、

「組織全体に対して変化を受け入れさせる環境を作る」

こともできます。例えば、マネージャとプロジェクトチーム全員が受講したらどうでしょう。翌日、現場に戻るとプロジェクト関係者全員が同じ研修を受けているので、講座の中でチームに取り入れたいことを新たな知識の習得という負担がなく取り込むことができます。

人選するなら組織に対して変化することを持続し続ける権限を持っているか、チームなど組織単位で受講させないと組織もプロジェクト運営も変化は起きません。