「○○力(hogehogeりょく)を強化しよう!」と言い始めたら危ないかもしれない
「コミュニケーション力を向上しよう!」とか「プログラミング力を育成しよう!」とか、よく言うじゃないですか。ワタシもほんわかとしたイメージで伝わり易くて便利なので使いますけど。ほんわかとしたイメージと言う意味は、お互いの頭の中では同一のイメージをシンクロ出来ていないので誤解したままでもいけるので便利だなーという意味合いですけどねー。
ワタシはいろいろ拘りがあるようで、「コミュニケーション」と言う言葉より「意思疎通」の方を好んで使いたい方だし、「リスク」は使うけれど「リスク」という「言葉の響きにごまかされて使っている人が多いんじゃないかなぁ」と感じているので「リスク!リスク!」と安易に使っている人を見ると怪しみますね。
なぜかと言えば、リスクの場合はリスクマネジメントって何するか少しは勉強してきてその言葉使っているのかなーって疑っているからです。リスクに対する識別と対策をちょっと聞くとか指摘するとか、そう言ったあとあとのアクションは大幅に変わるわけではないので疑っても疑うのをやめても変わらないので馬鹿らしいと言えばバカらしい拘りなんですけど。
スキルはそれ単体では学べない
で「○○力の向上」の「○○力」ですが、そうして取り上げる「○○力」って、そのスキル単体で強化できるものなんでしょうかね。
ワタシは「ノー」だと思っています。
システムエンジニアが自己のスキルを伸ばす対象の領域は基礎スキルと技術スキルとあるけれど、やっぱり効果を実感しやすい技術スキルを多くのエンジニアは学ぶと思っています。だって、投資対効果というか、コスパが高いというか、即物的な観点ですけど。で、実際、技術を学ぶことで言語やツールが使えるようになるので。なので効果が実感しやすいから技術スキル偏重になると。それってとっても実利的な考えですよね。それはそれでいいんですが。学ばないよりは。
そうした技術スキルの習得でさえ、その技術スキルを理解し、構成するスキルを習得するに当たっては無意識に基本スキルを活用しているし、新たに学ぶ技術スキルは他の技術スキルの習得体験をパターンとして学習した上に構築しようとしているのだと。
なんで危ないの?
素な気持ちで考えてみると、例えば、「コミュニケーション力」を向上させようなんてよく見かけるけれど、それって、具体的にどんなスキルなのか説明できるでしょうか。これ!っていう共通概念はあるんでしょうか。
ワタシが「コミュニケーション力」を表現するなら「意思疎通」を使います。自分の意思を伝えたい、があって、それを相手に届ける。で、相手の理解状況を確認できて初めて疎通できた、と。コミュニケーション力とは、自分の意志を伝えたい相手まで伝え、その相手が理解しているかどうかを確認するところまでが範疇なのですよ、と。
自分の意志を伝えているだけなら、片方向の通信なので伝わっているかどうかも分からない。ましてや、自分の意思を表現できないならそれ以前の話です。
「コミュニケーション力の向上!」はどこまでを目標にしているのか。伝えた後の確認までやろうと言っているのか、それとも、相手に伝えたい意思が伝わりやすい表現方法を学習しようと言っているのか。どっちなんでしょう。
後者なら、日本語からやりなおせば?かもしれないし、ファシリテーショングラフィックスの世界かもしれない。
ワタシたちエンジニアが日々研鑽しなければならないのは「コミュニケーション力」とかぼんやりしたものではないはずです。もっと、具体的にどのスキルを習得したいのか識別した上で望む必要があるのでは?そのターゲットとなるスキルを習得するためには関連するスキルを識別しないと効果的に習得できないのでは、と。そう思うんです。
あぁ、そうか、漠としているときにそれが嫌なのだな。ワタシは。