なんでITのプロジェクトはトラブルが多いんですか


「それでですね。」
「どうしたの。」
「昨日の詳細設計の話なんですが。」
「続きがあるんだ。もういいじゃん。」
「ちょっと違う話です。」
「そうなんだ。じゃあ、どぞどぞ。」
「なんでITのプロジェクトはトラブルが多いんですか。」
「違う話じゃんか。去年の日経hogehogeで75%は自称で成功しているらしいけどな。個別のプロジェクトのことなんて知らんよ。」
「75%成功ですか。そんなイメージないですよ、何かいつもトラブっているじゃないですか。」
「大体さ、キミのトラブルの定義はなんだい。」
「急にレスキューに呼ばれるとか、人がワサワサいるとか、ほら、盛り上がっている感じのですよ。」
「それ、ホント盛り上がっているって思って言っているの。当事者じゃないからギャラリーとして見てるだけじゃん。当事者は怒るよね、それ。」
「まあまあ、定義の話ですから。」
「それで。」
「計画どおりに行っていない、ですか。」
「まあ、そうだね。QCDの何れか1つがオーバーランしているプロジェクト、だね。」
「全部じゃなくていいんですか。」
「いいよ、1つで。」
「どうしてですか。」
「なんで頭を傾げてかわいいポーズ付きで聞くかね。」
「いいじゃないですか。」
「まあ、いいか。」
「いいです。」
「Qはなに。」
「QはQualityですよね。品質だからソフトウェアが品質を満たしている、です。」
「ふうん。じゃあ、Cは。」
「CはCostだから費用ですね。」
「コストはさすがにやさしいか。Dは。」
「Dは、Deliveryですね。だから…の、納期ですね。」
「危ないな、おい。正解だけど。」
「あのさ、Qualityなんだけどさ。なんでキミたちは品質で自分たちが作ったソフトウェアに対して品質を向上させる、っていうんだろうね。」
「それ、長そうですか。」
「多分。」
「じゃあこの話が終わったら、で、いいですか。」
「覚えていたら。」
「なんの話だっけ。」
「トラブルが多い話です。」
「そうそう、そうだった。プロジェクトの単位で見たら、ライフサイクルと言う意味で、だよ。」
「はい。」
「途中、いくら盛り上がっても盛り下がっても関係ない。最終的にQCDが計画内であれば成功プロジェクト。」
「それはそうですが…。」
「じゃあ、次の中から失敗を探せ。納期優先で人を投入する、品質確保でテストを伸ばす、コスト厳守でスコープを減らす。」
「……、人を投入、ですか。」
「残念。じゃあ、正解がわかるまで席にお帰り。」
「それはちょっと手厳しいです。」
「3つの選択肢で違うのはスコープですね。じゃあスコープで。」
「じゃあって、そんなゾンザイな選び方あるか。理由は。」
「スコープ減らしているからですか。」
「そうだね。それ。」
「良くありますよね、スコープの一部を止めちゃうの。うん、あるある。」
「それさ、止めるだけなの。ホントはバーターになっていないのかね。」
「そう言えば、追加要件と行って返ってでしたね。」
「それどこのプロジェクト。」
「★О[&?です。」
「ふうん。じゃあいいや。ところでさ、キミはなんでトラブると思う。」
「仕様が曖昧なまま進める、ヒヤリング力が無い、フレームワークを知らない…。」
「普段キミから聞くことばかりだね。その3つの中で正解に近いのが1つある。」
「あ、そうなんですか。どれですか。」
「だから自分で考えろって。」
「1番目か2番目かな…1番目ですか。」
「じゃあ、どうして1番目だとトラブルになるのかね。」
「工程で決めないといけないことを次工程に先送りしてテストがきつくなる、とか。」
「じゃあ、ニュアンスが違うんだな。仕様が曖昧なのは『誰が』なんだい。」
「開発チームですが。」
「それだけかい。」
「はい。」
「トラブルの原因に仕様の曖昧さがあるなら、それは誰が曖昧にしているのか、ということなんだよ。」
「曖昧なのは、開発チームか。開発チームは曖昧な要件を受け取って、曖昧な仕様とバウンダリしか提案していないないんじゃないのかな。」
「曖昧な要件って…。」
RFPとか調達仕様書とかさ。それがどこまで明示的に書いているか。あまり見たことはないけどさ。じゃあ、それを受けて見積もり行為をしているのになんでぽわんとした仕様の誰がどこまでやるかわからない提案をしてしまうのか。」
RFPを見れば、顧客自身が要求仕様を理解しているか、していないのかは想定がつく。そんな状態で提案しないといけないなら、提案は明確な仕様とバウンダリで提案しないといけないんじゃないかな。」
「顧客自身が要求仕様を知らないんですか……。」
「顧客自身が要求仕様を知っているなら、トラブる原因はほとんど提案する側だな。」
「それは提案が曖昧と言うことなんですね。」
「なのに明確に提案しないから、プロジェクトが始まっても仕様が曖昧なまんまなんだよ。というかね、工程が進むと具体的になるから余計に曖昧さが具体的になって慌てるんだよ。」
「なるようにしてなっているとしか言いようがないですね。」
「あとの、プロジェクト開始後のトラブルは、プロジェクトチームの問題だよ。ほとんど。」