「技術力が落ちた」「WBSが書けない」と言う人に言いたいのは「あなたも共犯なのでは」


お仕事の中で、プロジェクトの指導員的立場にある人が最近よく言うことがあって、それが「技術力が落ちた」とか「WBSも書けないんだよ」ということなんですが。


額面どおりに受け取るとそれはとても怖いことで、技術者である人に技術が身についていないとするなら、いったい誰の技術でその技術力のない技術者は食べているのだということです。仮に、べつのメンバの技術力を当てにしているとするなら、そのメンバと組まないときにそのプロジェクトの行く末を想像するのはさほど難しくありません。


さてさて、本当に技術力が落ちたのか、それともある1点のみをみてそう思っているのか。まじめに検証するなら、主張している人にインタビューでもして事実と思い込みは分けて聴いてみるのがよさそうです。検証ですから、一方的な調査ではアレですから、被告になっている技術者にも「キミはどうなん?」とお尋ねしなければバランスが取れない。ここまで考えて「面倒だなぁ」と思ったので脳内で可能性を検証してみましょう。


「技術力が落ちた」「WBSが書けない」


WBSが書けない」は具体的な事象なのでしょう。もしかしたら、落ちた技術力の一端なのかもしれません。WBSだけが書けなくて、他が及第点を取れるとは思えないので、たぶんに後者なのでしょう。


なぜ、そう思うかと言うと、WBSは「作業プロセスを具体的にしたもの」だからです。別に、WBSじゃなくてもいいんです。バックログのタスクの完了の定義でもいいです。バックログの状態からなんらか加工して完了といえる条件をクリアできたら「完了です」と言うなら、そこにいたるプロセスは存在するわけです。なので、なんでもいいんです、と言っています。


で、想像ですが、いろいろちゃんとやらないといけないことをやっていなくて、それを見ていて、指導員的な人はWBSを槍玉に挙げて不満を言っているのではないか、と。


それでですね、この「WBSが書けない」という事象はいったいどこに真因があるのでしょうね。これも想像します。「WBSが書けない」の原因にありそうなのは…

  • 作業プロセスが定義できない
  • 完了の状態を定義できない
  • 作業工数の見積もりの精度が悪い


このあたりの出来が悪いとWBSはメタメタですねぇ。担当レベルの、新人エンジニアなら許してもえらるレベルでしょうか。でもねぇ、本質はもっと手前のところかも知れませんねぇ。

  • 成果物が定義できない
  • 中間生産物が定義できない
  • 付帯作業が想定できない


これができないプロジェクトマネージャにぶち当たったら不幸としか言いようがないです。事故ですね、事故。もしそうだとしたら、真因はさらに別のところにありますよね。第三者の目線で見ているとわかるものですが、当事者になるとわからなくなったり。


元に話を戻して、「技術力が落ちた」「WBSが書けない」だけの事象で端的に捕らえて対処すると、「暫定対処」としては間違いではないと思うんですが、これも価値観の問題になるので同判断するかは当事者がお決めになればいいのでけど、「また、繰り返しますよ」ということです。


価値観なのでどうしようもないですが、(わざわざ)そう言うのは、恒久対処をやらない理由はいうけれど、恒久対処をやるための時間はとらない人が多いからです。だから、価値観の問題、と言わざる得ない。こちらも「そうなんですねー」と言いますけどね。個人的には「コイツも共犯だよねー」と思っていますけど。