プロジェクトは見えないシステムとの戦いである


プロジェクトは見えないシステムとの戦いである。


もう少し細くしてと言うと、プロジェクトを推進するプロジェクトマネジメントというシステム(しくみ)は、ドキュメントにこそ書かれるようになったが、未だプロジェクトの日常ではそのプロジェクト推進のしくみはプロジェクトチームのメンバの頭の中で記憶されている上で行われいる、ということです。


いやいや、ドキュメントにプロジェクトマネジメントのしくみとやらが書かれているのではないのかい、と疑問を持つかもしれないけれど、その前にそのドキュメントに書かれたプロジェクトマネジメントの推進のしくみはプロジェクト計画書ですよ。


そのプロジェクト計画書をプロジェクトのメンバがいつでも見られるようなしくみになっているものでしょうか。…どうですか、プロジェクト計画書が作られていたとしても、ファイルサーバや構成管理ツールの中の奥に格納したままになっているのではありませんか。


でも、進捗管理WBSがあるから、とお思いですか。それもファイルサーバにあったり、最悪なのはプロジェクトマネージャのPCにあったりしませんか。実在はするし、毎週、毎日更新はするけれど、結局、決まったリポジトリに格納されていているならまだしも深窓の令嬢如く作ったきりになっているケースもあるのではありませんか。


何れにしても、不思議なことにプロジェクトのしくみはプロジェクトのキックオフではプロジェクト計画書のさわりだけは触れられた後、プロジェクトメンバの前に再び現れることのないシステム(しくみ)となっているのですよ。


そして、日常に起きていることは幼稚園の園児を相手にしているような保育士のようにメンバがバラバラに動き回って統制のとれていない後をかけまわしているプロジェクトマネージャの構図が出来上がっているのですよ。


プロジェクトチームは、可視化されていないプロジェクトマネジメントの推進のしくみの上で、わざわざ目隠しをして手探りでアクティビティをしているのです。


そうしたことに対する解決策の一つが、プロジェクトマネジメントのしくみの一部を可視化する壁やホワイトボードを使ったカンバンなわけです。


ワタシも経験からどうしたらプロジェクトチームのメンバプロジェクトマネージャのワタシの考えていることを共有できるかを試行錯誤してきたんですね。


その結果の一つの形が、ホワイトボードにカンバンのToDo/Doing/Doneのプロセスをプロジェクトの皇帝のプロセスに拡張したり、レーンを引いて開発環境別に分けたり、マスタースケジュールを張り出したり、工程の品質目標を明示するなど、いわゆるプロジェクトマネジメントの要素をばーん!と見えるようにすることでした。


プロジェクトを推進するしくみ、それはプロジェクトマネージャが思い考えているプロジェクトマネジメントそのものです。


それをプロジェクトマネージャの頭の中だけでおくことになんら価値はないし、プロジェクトマネージャの頭の中やファイルサーバの奥底にしまってあるプロジェクト計画書を平易に閲覧できる環境を作らずに書いてあるままに実行しろという無理難題にも意味はありません。


そんな状況では、プロジェクトチームは、いくらプロジェクトマネージャがプロジェクトの価値を最大にしたい、と言ってもその前にプロジェクトを推進するためのしくみがどうなっているかいつも神経衰弱で消耗させていることと同じであることにそろそろ気づいていいいではないですか。


もう、やめましょう。我々システムエンジアが注力するのはプロジェクトの目的を達成することで、プロジェクトマネジメントの見えないしくみを手探りで戦うことではないのですよ。


参考図書
本の表紙に惑わされてはいけない。中身はとても濃いし、インフラチームにも導入できることばかり。


1章だけでも十分読む価値がある。

カンバン仕事術
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