一人前のシステムエンジニアを育てる先輩システムエンジニアを育てるコツ


新人が配属されたマネージャはようやく自分の部署に若手が来て嬉しい反面、さて、新人の育成をどうしようかと現実に引きも喉されるのではないでしょうか。こうした経験は、マネージャになりたての頃は、マネージャ自身が自分に余裕がないし、マネージャの経験をある程度積めば積んだで惰性になるので、どっちの場合でも新人システムエンジニアにとっては迷惑千万なわけです。最悪は押し付けられた先輩から本を読んでいてと放置されて…で、実戦に投入されて「最近の若者は使えないなー」とか不条理を言われる、と。


NEW GAMEで青葉ちゃんがautocadの本を渡されてある程度進んだところでモデリングの仕事を渡されたのは、あれはあれでいいのかもしれませんが。本を読んだだけじゃ技能は身につかないので演習が必要だからね。


先輩システムエンジニアをメンターとしてつける
配属されたら、その時点でプロジェクトに参画なんてなったら、お客さまからみたらそれでも専門家なんですよね。だって、お金もらっていますから。そして新人システムエンジニアの振る舞いで良い思いも悪い思いも抱くのは一緒に働く先輩システムエンジニアです。なので、可能な限り、同じプロジェクトで働く先輩か新人システムエンジニアが担当する専門領域の先輩をメンターにつけます。


プロジェクト型のビジネスが事業スタイルだと、案件ごとにチームを編成するので同じプロジェクトのまま先輩と新人を一緒のチームにしておくことは難しいという特性がありますので、前述のような形態にならざるを得ません。


先に先輩システムエンジニアを動機づけする
新人の育成で必要なことは、新人自身に動機づけるより先にメンターにつける先輩システムエンジニアを動機づけする方が先です。新人システムエンジニアは、まだ右も左も分からないヒヨッコですから動機づけも何もないです。見たものを覚えてしまいます。よくことでも悪いことでも。


そう、これがポイント。良いことでも悪いことでもその良し悪しが分からずに覚えてしまう。背中を見て育つではないのです。一緒に働く先輩の所作を見て育つ。だから、先輩システムエンジニアの動機づけが必要なのです。


先輩システムエンジニアは技術最適化をする
あったりまえなのですが、プロジェクトの中での育成になるので、先輩システムエンジニアが教えることは業務で必要な作業です。一も二もなく技術最適化になります。まずは、技術を身につけてもらわないとリソースとしてカウントできないので下流工程なり上流工程の補助から仕事を切り出して渡します。


マネージャが新人システムエンジニアを見てあげるのは、技術以外のことです。コミュニケーションやプロジェクトの全体感などのプロジェクト最適化されて教えられないことを側面から支援をします。


とくに、コミュニケーションは組織が100あれば100通りの文化が存在するので、暗黙で行われていることを明示的に教えてあげる必要があります。レポートの書きっぷりとか。先輩システムエンジニアはそこまで気が回らないですから、マネージャは、メンターになっていない他の先輩達にそうしたことの役割を振るのが良いです。


先輩システムエンジニアに思い出してもらう
新人システムエンジニアの育成が始まると必ずと言っていいほど先輩システムエンジニアは悩みますし、場合によっては新人システムエンジニアを叱ることもあります。


そういうことがあるかないか、まわりの人によく状況を教えてもらうこともマネージャには必要です。大事な新人というリソースを活かせるようにすることがマネージャの仕事だからです。


場合によっては新人よりは先輩システムエンジニアに対してのインタビューの回数を短時間で良いので増やした方が良いです。そして悩みを聞くと出てくるのが「あいつは向いていない」「できない」という否定形の発言です。


よくよく聞くと気づくと思うのですが、先輩は無意識に普段一緒に働いている仲間と新人を比較しているのです。それは無理ってものです。有りがちなのは、先輩自身と新人の仕事ぶりを比較して「できが悪い」と言います。


そういうときの魔法の言葉のかけ方があります。

「先輩システムエンジニアは何年目だっけ。もうNN年なんだ。なるほど。ところで、先輩システムエンジニアが新人の頃の仕事はどうだった」


この言葉で先輩システムエンジニアは「はっ」と気づきます。そりゃ無理言っていた、と。自分が新人の頃に試行錯誤していたことを思い出します。


たったこれだけなのですが、今まで新人システムエンジニアと向き合ってきてうまくいかなかった理由がここでわかるのです。そういうことか、と。たった1つの質問でそのあとの接し方が変わります。こうした質問ができるのは情報を集められて、客観的に見ることができるマネージャだからなのです。