その再発防止策、チームのリターンは何ですか

新システムを構築する際に、既存のディレクリトリサービスやADに接続するような作業がある場合、本番環境のシステムに接続するのでとても気を使いますよね。

だって、対向のシステムは本番環境ですから監視・通知の機能が生きていますから。そこで作業をミスると顧客に監視メッセージが上がることになります。

で、起きることは呼ばれて怒られるわけです。「本番環境で何ミスしているんだ」って。

誤ることはいいんですが、その後がとても面倒です。説明資料を作って、所謂、再発防止策をお持ちしなければならないのですよ。

まあ、対顧客のアクションはそんな感じなのはどこでもいっしょだと思うのですが、さて、チームにはどういうアクションをしましょうか、と。

チームにどのように指示するか

あなたなら、ミスをしたチームに対しどの選択肢を指示するか。

・本番環境でミスをしたのだからメンバを叱責する
・本番環境でのミスは許されないから、何重もの防止策(ダブルチェックなど)を組み込むことを検討させる
・作業ごとに目的を読み合わせし、機械化できるものは機械化し、人手を極力減らす仕組みを考える
・人は誰でもミスをするものだから、気をつけるようにだけ言う

叱責することはデメリットしかない

いくら重大なミスをしたからといって、メンバを叱責しても叱責することに効果があるかを考えれば「ゼロ」であることは変わらないです。叱責されたメンバがいけないことをした、と思えばまだ良い方で、戯けて「怒られた」とかミスをしたのは「○○のせいだ」とミスの原因を他所に探し始めたら最悪な状況です。

なぜ、ミスを他所に探し始めたら最悪かというと、作業のミスの原因が解決されず、放置されたままになるからです。だって、自らの作業を見直すことをしないのですから。

気をつけるようにだけ言うのは…

これもダメです。作業でミスをしたら、ミスをする作業手順があるのだから。それを除去するなり、変更するなりの改善が必要です。その、現実に置きたミスを繰り返したくないなら。

気をつけるだけを言うと言うことに一つの懸念はメンバに対してプロジェクトマネージャがよく思われたいと思っていたりしないか、と言う仕事において間違った価値観を持っているのではないかと言う点です。

プロジェクトマネージャであれば、プロジェクトの目的を達成するために何をすれば良いかが価値判断の基準になるのが自然で、そうでない価値観をプロジェクトに持ち出すのは個人的な感情に基づいているからだ、と言えるでしょう。

ミスを責めるとミスをしない対策を増やす

これは割と身の回りにあるのではないか、と思います。

例えば、トラブルが起きて、脊髄反射的に再発防止をすることを疑うこともなく念仏のように求めたり、自ら対策案の立案を検討しているような組織の場合は特に危ないです。

特に、その対策自体がダブルチェック、チェックリストなど作業を増やすものについては確実に実行されるプロセスまで言及し、改善していない場合は再発の観点で危険です。

なぜなら、効果は期待できずコストとドキュメントばかりが増える割にミスの再現率が低くないからです。

こうした確認手順を積み重ねる方法をとる場合、メンバは何を念頭に対策を考えるのでしょうか。

それは、ミスをしないことだけを考えます。

・確認漏れだったから、チェックリストで確認漏れが発生しないようにする
・確認漏れだったから、二人でダブルチェックをする

ミスをしないことを考えるチームは、自分たちで対策を考える領域を狭めながら考えることしかできません。

対策を考える際に大事なことは、プロセスの不備を見つけることとミスは誰が起こすのかを考えることです。手順はプロセスに組み込むもので、プロセスは人が行うことだとすれば、プロセスを変え、実行者を人から確実に行う機械(プログラム)に置き換えると言う発想に辿り着かなければなりません。

チームのリターンは何か

こう言った発想になるのは「怒られないように」することを考えているからです。その再発防止策でチームが得るものは「怒られない」しかありません。

本来得なければならないのはプロジェクトの目的を達成することです。

プロセスに目をつければ、新しいプロセスを得られるし、機械化すれば効率化や作業の確実性の向上を得ることができます。

その再発防止策、チームのリターンになっていますか。