エモいWBSの直し方

「フェーズの始まり毎にWBS作るの面倒ですよね、センパイ」
「必要なんだからしょうがないだろう。ほら、今日のうちに終わらせちゃおう」
「だって、正直適当に作っているじゃないですか。やっているうちにだんだん変わって行っちゃうし」
「え、適当に作っていたの…そうだったのか。てっきり、進捗が遅れたりするのはケースバイケースで理由があるからと思っていたら…」
「何ブツブツ言っているんですか。脳内から心の呻きが漏れていてキモいですよ」
「エモい作り方でWBS作っているヤツに言われたくないわ」
「ひどいー、はらすめんとぉーかなー」
「ハラスメントならそんなにニヤニヤしながら訴えたりしないから。それ冤罪だから」
「じゃあ、センパイはどうやってWBS作っているんですか」
「教えたじゃん、もしかしてあれ覚えてないの…マジで…そりゃ適当になるか」
「だから、WBSの作り方教えてっているんですから教えてくれないと後輩ネグレストって言いふらして来ちゃいますから」
「新手のテロだな、それは。俺の儚げなキャリアがパーになるからやめて」
「それで教えてくれるんですか。教えてくれるんですよね。ダイアログにはOKボタンしかないですけどね」
「そんなひどいUIダメだから。レビュー通らないから」
「そうですか、退会のフローならあるあるじゃないですか」
「どこのサイトdisってるの。いいから、そう言うの」
「だから、センパイ、WBSの楽チンな作り方、教えてくださいってば」
「わかったから。もう。ちょっと見せて。どこまで作ったのWBS
「えーアサインされたタスクをこう、キラキラって、パーっと。ほらいい感じでしょう」
「どこのプロデューサだよ。順番に見るから」
「センパイ如きが私のWBSにダメ出しできるわけなん」
「ダメだこれ。全部とは言わないけれど作り直し」
「いじゃん。え、何ですって。今ダメ出ししたの。センパイのくせに。親にWBSのダメ出しなんてされたことないのに」
「嘘つけ。小学校の夏休みの過ごし方で書き直しさせられているだろう。こんなんじゃ」
「なんて知っているのよ、ストーカーね、ロリだったんですね」
「いいから。そこで聞きなさい。じゃないと教えないよ。いい、これ、工程の標準テンプレート使ってるのかな」
「何かなー、標準テンプレートって何かなー、聞いたことはあるかも」
「知ってはいるんだな、じゃあ、それを準用すること。そうすれば8割方は修正できるんじゃないかな」
「なんでパッと見ただけでそんなことが言えるのよ」
WBSのレベルが不統一なところ。成果物が定義されていないところ。レビューの項目漏れ。あとはひとつ一つ見ないとわからん。でも、8割方はこれで修正すればいいから」
「なんか上からですねーセンパイなのに」
「あのな、逆に言えば8割は標準テンプレートに沿ってWBSを作っていたら、俺はこの作業しなくてよかったんだぞ」
「気にしなくていいから、センパイの作業だし」
「…もうこいつは。懲りてないし」
「次は作る前に相談しに来いよ。その方がまだマシだ」
「まあ、偉そうに」
「いいんだよ、先輩なんだから」
「でもー、どうして標準テンプレートなんて作っておくのかな。なければこんなことにならなくなて済むのに」
「お前みたいな奴が適当にWBSを作ると作業漏れやWBSのレベルを考えずにWBSを展開しちゃうだろう。そうするとやり始めてからWBSが増えるので工数が本来であれば含めておかなきゃいけないのに入れ忘れているからその分ショートしちゃうんだよ。あと、レベルを考えずに展開すると同じレベルの進捗遅れでもインパクトが違うの。こっちは1日作業、こっちは10日作業とバラついたら影響度合いが見通しづらくなるの。わかったかい」
「面倒くさい」
「だから、面倒臭くならないように準備するの。わかって」
「わかった、次は気をつける」
「よかった、わかってくれて。ふー、1日分の疲れが出てきたよ」
「じゃあ、残りの2割のWBSもチェックしてくださいね、センパイ」
「えええぇぇ」

 

システム開発のためのWBSの作り方

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