小さなチームで大きな成果を得ることや大きな組織にスケールしながら変化し続けることはアジャイルだけではない
2012年以降、アジャイル開発がある一定のビジネスを牽引するようになったと思っているのだけれど、アジャイル開発での小さなチームで大きな成果を得ることや、大きな組織で変化し続けることはアジャイルだけの専売特許なのかしら。
従来の、傍流のシステム開発を担うビジネスではリソースが十分割り当てられることはないかった=小さなチームでしか対応することができないだろうし、小さくても組織であれば組織内の再編の波に揉まれながらも生き残るためには成果を何かしらの形で示していかなければ次の組織人事で消滅してしまうのだから。
大きな組織でも世の中の変化に対して受け身ではなく、やはり生き残るために次のビジネスやソリューションを開発する組織だってあるのではないかしら。
ただ、小さなチームで大きな成果を得られるように活動をしていても生き残れるかどうかは別の話だし、大きな組織で変化をし続けることで生き残れるわけじゃないし。それにそういった組織の中にいなければ、小さなチームや大きな変化する組織があることを知りようがないという事実もあるので。
まあ、そうだよね以上のことはないのだけれど。
アジャイルの専売特許とは誰も言っていない
アジャイルを謳っていなくても、必然とアジャイルなチームにしなければビジネスとして成り立たないことだってあるのです。
それはビジネスとして成り立つための様々なリソース、経営陣のポリシーや事業予算配分で示される事業戦略上の制約条件により、結果的に小さなチームでしかビジネスできないケースがそれにあたります。
何もSIerのビジネスが大規模開発や再構築のプロジェクトばかりではないのです。そう思っているなら、もう少し世の中のエンジニアと心のNDAを交わした後にお互いのビジネスについて情報交換を通して擬似体験した方が良いです。エンジニアに関わらず人は経験した範囲しか視界に入っても認知しないのですから。
小さなチームで大きな成果を得る
前述の小さなチームでのビジネスは生き残ることが最大の目的になりがちですが、メンバのスキルと視野に入れるビジネスが組織に要求するスキルセットのギャップを検証していれば、マネージャは必然とメンバの育成を考えたアサイメントをすることを考えるはずです。
#マネージャ的には揃っていないところでビジネスをしなければならいのはツライ
少なくとも今は持っていないスキルセットの一部を何かしらにより充足しなければならないけれど、大概は、マネージャのリソースか外部リソースを買ってくる他ないので。それができるのは最初の頃までで、マネージャのリソースをあてにしてしまうとマネージャが本来やらなければならないマネージャ業務ができずこそがビジネス的に死角になるし、外部リソースに慣れてしまうとメンバが新しいことを学ぶ習慣を得る機会と不都合なことを外部に投げてしまう悪い習慣ができてしまうためです。
こうしたことも並行でこなしながらも、ビジネスを回すためには少数精鋭のチームを育て、チームのメンバにはフラットなロールとマルチなスキルセットを要求しながらビジネス的なリターンを得られる構造をマネージャは作らなければならないのです。
で、これはアジャイルな性質を持ったチームではないでしょうか。何もスタートアップやプロダクト開発だけのものではないと思うのです。まあ、誰も限定はしていないと思いますけれど。
ただ、大きな、であるかどうかはビジネスの特性に依存するのでSIビジネスであれば、扱うソリューションの元締め的なポジションにならないと単価的に伸び代が制約を受けるのはわかった上でビジネス展開、つまりスケールアウトを考えなければならいです。
大きな組織で変化し続ける
このスケールアウトを考え始めるときに保守的=取り組んでいるビジネスを維持するために受け身になっては元来要求されているビジネスとして生き残るという危機感が薄れてしまうので危ない観点なのですけれど。
チームを複数同時並行で走らせようとするとチームの分割を考えなければならないし、他の組織からリソースを移すか、採用によりリソースの補充を考えなければならないです。その際に出てくるのが育成という投資ですが、そこで現状のビジネスを(うまく行っているとして)をオペレーションするコピー要員を作ってはいけないということを忘れてはいけないのです。
#基本的にスケールアウトを目指した瞬間から組織行動は稀薄化と劣化をするものだ、と認識した方が良いです。なぜなら、個体であるエンジニアが解釈してエンジニアの価値判断で行動するから。だから繰り返しインストールが必要なのです。
大きな組織を目指すとしても主導権を持って変化することを手放してはいけないのです。育成をするのであれば、小さなチームでビジネスを回すために組織の存在意義として持っているポリシーを充足する要員にインストールしなければならないし、合わなければ外に出す方が正しい判断だと思います。
こうした組織をスケールするにしても小さなチームがビジネスの基本要素であり、それを続けるのは組織として変化することがビジネスとして生き残るために必要な戦略だからです。それはSIerだとしても変わりません。
複数のチームを同時並行で回すときの複数がどれだけコントロールできるかはマネージャのパーソナリティに全てが依存していきます。視界の広さ、届く視線の深さはマネージャの特性で違いがあります。複数になった途端、両方とも見切れなくなるマネージャは少なくないです。1つなら有能であったとしても複数では鈍感になるマネージャが少なくないです。これはチームのリーダも同じです。
結局、マネジメントがどう考えてビジネスをしたいかが組織人事として表現されるのであって、それに後から名前をつけても(つけるのは結構ですが)そうなんだ、ですけれど。名前より生き残る方が大事なので。
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