エンジニアにルールを作る側になることを勧める理由
これもまた、facebookでシェアされていたのでまとめを見たのだが「そうそう」と頷いてしまった。
頷いたのは2つの理由がある。1つは、このゲームというかワークショップでの先生の狙いについてである。
これまで何度かエントリで直接的に、間接的にエンジニアもマネジメントを経験することを勧めると書いていた。なぜなら、エンジニアでは持てる裁量が限られるが、マネジメントになると担当する事業の範囲の中で多くの裁量を持てるようになるからだ。
裁量を持つということは、担当事業の範疇で、やったこと、やらなかったことの全ての責任を負うが、担当事業の範囲であれば、組織の規程の中ではコンプライアンスのキャップはあるが何をやっても良いのだ。
言い換えれば、組織の中において、ルールを作る側になれるということである。
部下のチームやメンバにあれこれと業務上の指示が出来る。これは好き勝手にエンジニアをこき使うという意味ではない。自分で優先度の高いと判断した事業にリソースを投下するとか、事業の優先度を意思決定するとか、そういったことで、である。
もちろん、ルールを作る側になるのでチームの文化を作ることになる。稀にマネージャが変わると組織の文化が180度変わることがある。これはマネージャが変わる前と変わった後のマネージャと価値観が違ったために起きる事象である。価値観が変わったので、意思決定が変わり、意思決定が変わると組織の中での文化に浸透する。
マネジメントが変われば、統制型のチーム運営からサーバントリーダーシップに変わることだってある。そうした組織活動における全てを変えられる経験を積むことは、その後にまたエンジニアに戻ってリーダーシップを発揮するにしても、その経験は役に立つ。
もちろん、マネジメントになっても上長の言いなりになっていたり、従来の路線を変えずに引きずっていては何も得られないが。
2つ目は、ルール①とルール②の説明である。
ルール①
ルール説明①
— 昆布山葵 (@43ismamorigami) July 13, 2018
・紙に『1000円』と書いて10cm×5cmに切り取った物を1000円と見なす。
・紙に『500円』と書いて直径3cmの円形に切り抜いたものを500円と見なす。
・規定より5mm以上小さかったり大きかったりするお金は無効。
・1時間後に最も多くのお金を保持していたチームの勝利。
ルール②
ルール説明②
— 昆布山葵 (@43ismamorigami) July 13, 2018
・それぞれのチームには紙を無制限で支給する。
・ハサミ、鉛筆、定規、コンパスなどの道具はランダムで1チーム2つづつ支給する。
・各チーム1回づつ先生から『情報』を聞くことができる。
・製造したお金は自由に使用しても構わない。
・ルールに無いことは何をやってもOK。
説明の順番にも意図を感じられる。これはゲームだと言った後、ゲームに勝つ条件を提示(ルール①)する。その後にリソースとしれっと制限事項を特記のように付け加える(ルール②)。
自分もワークショップを持っている。意識したことがないが、同じような説明の順番になっている。
エンジニアの特性上、アウトプットすることにフォーカスしてしまう。毎日、進捗を確認され、毎日80%だと言っているのだろうが、それはさておき、ゲームの勝ち方を理解し、勝つためにリソースを集中投下することを考える。
エンジニア自身が、勝つ条件だけを考え、効率化と生産性を考える。こうしたアプローチを否定することはしないが、高効率性を求めるとリソースがキャップになって生産性の停滞が起きる。
ここで必要なのは、システム開発でいうシステム開発手法に何を適用するかという判断である。エンジニアに限らないが人は、過去に経験した手法でしか発想ができない。だから、物作りを経験した範疇で組み上げてしまう。定規を使い、線を引き、ハサミで切り取る。その手順に必要なリソースだけにフォーカスしてやりくりしようとする。
このゲームに限らない(自分のワークショップも同じだ)が、ポイントは最後のおまけでつけた特記である。
・製造したお金は自由に使用しても構わない。
・ルールに無いことは何をやってもOK。
このような気にもならないことをわざわざいうかに引っ掛かりを気付けるか、気づけないかで世界が変わってしまうのだ。
商売の基本はモノを内製か調達し、高く売ることである。もしくは、安く仕入れ、高い市場価値を維持することである。
市場を作り、市場のルールを整備し、支配することである。市場の中で、決められたルールの中でやっていては、市場のオーナにピンハネされるだけの存在でしかない。いわゆるプラットフォーム戦略と言われるものだ。
こういったことがマネジメントで(意志を持っていれば)経験できる。経験すると意思決定の手段を選ぶ選択肢がものすごく増えるのだ。
長々と書いたが、とりあえず、ゲームを作る側になると楽しいということが伝われば。
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