2019年に必要とされるエンジニア、必要とされないエンジニア
2019年にと付けたのは、釣りである。折角なので、このまま読んで感じたことをブコメ*1でもしてくれたら嬉しい。
何故このタイトルは釣りなのかというと、2019年『に』ではなく、2019年『以前から』ずっと、エンジニアに必要なスキルであるから、だ。
このように、エンジニアに必要とされるスキルは多い。ところで、2018年のエンジニア界隈では、PMというキーワードが多かったのではないか。この『PM』はプロジェクトマネージメントやプロジェクトマネージャではなく、『プロダクトマネージャ』『プロダクトマネジメント』の方で有る。自分としては、PMはプロジェクト、PdMはプロダクトと使い分けることで同音異義語を回避したい。
さて、PMよりPdMに関わるエンジニアが多くなってきたところでその界隈のエンジニアの『基礎スキル』として必要になるスキルが『課題設定』に関するスキルである。
ウォーターフォールに代表される従来のプロジェクト体制におけるエンジニアのロールの配分から言えば、課題設定のスキルを求められるエンジニアは少数でよかった。本来は、全員に求められるはずであるが、プロジェクトとして切り出したとき、ロールのヒラエルキーの上位者に課題設定のスキルを持ち合わせてもらえば、まあ、プロジェクトはそれなりに進む。そのロールにつくエンジニアの負荷は高くなるが。イメージ的には、10人のチームで3人くらい(プロマネとリーダ2名)が課題設定のスキルを持っていればなんとかなる。大変だが。
PdMになるとそうはいかない。数人でエンジニアは1−2名だったりする。エンジニアに課題設定のスキルを持ち合わせていないとエンジニア目線での技術的なリスクを確実に見落とすだろう。
ところで課題設定のスキルとは一体どのようなスキルなのだろうか。
リスクを識別する能力、プロジェクトの問題を発見する能力、何かしら問題を感じる能力。言葉は微妙に違うが言わんとしてることは同じである。
まだ言語化されていない、様々な情報で把握しているエレメント同士を結びつけられるスキルなのだ。
こうした性質を持つスキルは訓練では身につけられないという難点がある。
何故なら、訓練用にテキストを用意できたとしても、現場でテキストと同じ条件の課題は再現しないからである。プロジェクト、局面、WBS、メンバ、ステークホルダ、物理環境、体調など様々な要素は1秒違えば別の世界に変わっている。再現できない環境なのである。
結論は、課題設定のスキルの育成は不可能に近いということである。
ただ、ここで諦めてしまうと課題設定の能力を身につけられるエンジニアは偶発的にしか生まれないことになるので少々具合が悪い。であるから、なんとかしなければならない。
そこで課題設定のスキルを身につけるためのアクティビティを以下に整理する。
- 情報を集めれられるスキルを身につける
- 課題設定しなければならない『問題』の構成要素に分解できるスキルを身につける
- 情報を集められる人的関係を醸成できるスキルを身につける
- 『問題』から課題を設定するためのチームビルディングできるスキルを身につける
- 『問題』と『問題以外』のバウンダリと外界の境界がどこまで含まれるか範囲を設定できるスキルを身につける
- 『問題』から構成要素に分解するためのファシリテーションスキルを身につける
- 『問題』の構成要素同士の関連を整理するスキルを身につける
- チーム全員から『問題』から感じる全ての感覚を図と言語で表現するスキルを身につける
- 図と言語から要約できるスキルを身につける
- 問題の構成要素が事実であるかを確かめられるスキルを身につける
ここまでを経ると、課題設定を身につけるとっかかりができているはずである。
さて、上述の10項目に対しての気づきはあるだろうか。
そうなのだ。この課題設定のスキルは、定性的なスキルを多く必要とする。そして醸成したいスキルもやはり、定性的な特徴を持つスキルなのである。
では、どうして『課題の設定』をできるスキルを持つエンジニアが必要なのか。それは、PdMに関わるエンジニアはスコープを自ら設定しなければならないからである。問題から課題を設定し、それを技術的に解決するのがエンジニアの仕事であるならば、そういうことである。
さて、あなたは2019年に必要とされるエンジニアであるのだろうか。
*1:課題の設定