ペアワークした話

 

あるエンジニアは、ホスピタリティが高く、システム運用業務ではトラブルの相談があると最優先に対処してくれている。当然、トラブって相談に来ているエンジニアからの信頼は厚い。

そのエンジニアの担当業務は、まずまず進捗するから実行能力は高いと評価していて、そのエンジニアがいないと業務が回らない。

さて、このエンジニアをあなたなら、どう評価し、どのようなロールまで任せられると思うか。

もちろん、上述で書いていない情報もあるし、実際に仕事を一緒にしたり、職場の風景として記憶を持っているわけではないから想像しづらいかも知れない。まあ、設問をするくらいだから、その辺りは何かしらあるのだろうと察することもできるかもしれない。

今思えば、おかしいと気づき、アセスメントして、コンピテンシレベルを見極められていれば、その分、リカバリもその分早くできたのかも知れなかった。

要点を並べれば、こんな感じだ。

・中堅エンジニアとしてはベテラン(上の年齢)

・コミットメント、目標達成への思いは強い

・ホスピタリティは高い

・実行能力は高い

しかし、エンジニアのその人を形成する基礎スキルのうち、

・課題設定能力は低い

・ゴール(成果物)設定が不十分

・課題解決のアプローチが組み立てられない

・ゴールから逆算した成果物への復元プロセスをデザインできない

などなどある。

Sierの感覚で言えば、上流設計の作業プロセスのデザイン、規模は小さくてもいいから自分でプロジェクトを回せられる程度のスキルセットを持ち合わせていればいい。

エンジニアの誰もがSIerに属しているわけではないし、ベテランのエンジニアであっても上流設計を経験しているわけでもない。エンジニアが100人いればキャリアも100通りである。

それを踏まえても、例え上流設計を経験したことがないとしても、課題設定やゴール設定は自分のアクティビティで日常的に経験しているし、段取りやスケジュールは引いて仕事をしてる。

ここまで読むと、じゃあ、そのエンジニアをどうしたかと言うと、プロジェクトのリーダからは降ろさず、続けてもらった。もちろん本人のwillもあってのことだが。

それで、結局、プロジェクトの筋書き作りをペアワークしたのである。

 大きな枠だけ描いて、枠ごとのゴール設定、課題設定のアプローチ、ゴール(成果物)の分解、作業分解、入力情報、処理、分解したゴールと紐付け、マイルストーン、個別作業の作業手法などの観点を話して、それのオブジェクトは何かを考えさせ、言葉や図式化させるのである。

それをペアワークと呼ぶかどうかは怪しいが、それでも2人で成果を得られ、スキル的なジュニアなエンジニアがスキルのキャッチアップができるならそれをペアワークを称したい。